振り込め詐欺組織、ピラミッド形、分業徹底
――「実動部隊」ノルマ、月1000万円。
~日経新聞 2005/01/27 社会 面から
暴力団関係者や少年ら数百人が関与したとみられる詐欺組織に、捜査機関
のメスが入った。26日、警視庁と大分、山口両県警の合同捜査本部が摘発
した大規模「振り込め詐欺」事件。2年間で200億円をかせいだとみられる
犯罪組織は分業制やノルマが徹底されていたといい、ピラミッド形の巨大な
“集金マシン”の一端が浮かび上がってきた。
●● 詐欺事件として、過去最大規模の集団が摘発されました。
被害総額は、2年間で200億円と推定されています。
これは、毎月8億円、1日あたりおよそ3000万円を稼いだ計算になり
ます。
年間の売上規模が100億円というと、企業であれば、東証に上場しても
おかしくないような企業規模です。
これほどの集金をあげる組織だけあって、この詐欺集団は、企業
組織に近い構造で活動を続けていたようです。
この組織のトップは、「総括社長」と呼ばれるは三十代の男性。
この「統括社長」の傘下には、約10のグループがあり、それぞれの
グループに「社長」とよばれるグループ長がいました。
そして、それぞれの「社長」は10店程度の「店」を統括しています。
「店」とは電話をかける犯行拠点のことであり、首都圏を中心に
約100ヶ所の「店」を運営していたということです。
「店」には「店長」「番頭」「社員」がおり、ここが実働部隊として
日々電話をかけていたようです。
また、実働部隊の後方支援組織として「事務所契約グループ」
「通帳調達グループ」「口座開設グループ」「引き下ろしグループ」
などが存在し、完全に分業体制が整っていました。
100ヶ所の「店」を10分割し、10人の「社長」が管轄。
そして、その10人の「社長」を「統括社長」が統括。
さらに、集金や調達などをグループの別働部隊が支える。
どこかのフランチャイズチェーン店の話のような気さえしてきます。
トップの「統括社長」は、各「店」に月1000万円のノルマを課す
一方で、業績に応じボーナスや昇格なども実施していたということ
です。
基本給は「店長」が50万円、「社員」が20万円程度でしたが、
成績優秀店には国内旅行などの賞品が贈られたり、優秀な店長の
給料は給料は月500万円に上ったりということがあったよう
です。
一方、ノルマが達成できないと、リンチを受けたり、降格されたり
したといいます。
こちらも見事なアメとムチによる管理で、実力主義が徹底されて
いた様子が伺えます。
そして、この組織のメンバーは総括社長から毎月数十万円を特定の
会員制クラブで使うよう指示されていました。
そのクラブの経営には暴力団が関与しており、違法収益がクラブの
売り上げに転換され、最終的には暴力団に上納されていたというのが
実態であったいうことです。
この組織に関与していたメンバーは、数百名規模であることが想定
できます。
早急な関与者の逮捕と全容の解明が望まれます。
≪関連Webサイト≫ 警察庁
http://www.npa.go.jp/