生活保護94万世帯
昨年度、過去最多
~日経新聞 2004/09/30 社会 面から
2003年度に生活保護を受けた世帯は94万余りで前年度より約7万世帯増え、
過去最多を更新したことが29日、厚生労働省のまとめで分かった。人口に
占める受給者の割合(保護率)も1.05%と16年ぶりに1%を突破。失業で
収入を絶たれたり、貯蓄がなくなったりして生活保護に追い込まれる
ケースが依然多く、増勢に歯止めがかかっていない。1カ月単位で平均した
受給世帯数は94万1270世帯。11年連続で増えた。男性65歳以上、女性60歳
以上が中心の「高齢者世帯」が全体の半数弱を占める。
●● 2003年は、自殺者数も過去最悪でした。
現在日本では、毎日およそ100人の方が、自らの命を絶っている
という状態が続いています。
生活保護を受ける世帯も、1993年以降、10年連続で増加してい
ます。
今年は遂に、人口に占める受給者の割合が1%を超えてしまい
ました。
日本国民の100人に1人が、生活保護を受けている状態です。
そして、今でも、毎日200世帯ずつ生活保護を受給する世帯が
増加しているのです。
現在、生活保護を受けている世帯のうち、およそ半数が、
いわゆる高齢者世帯です。
現在の高齢者世帯は、多くの場合年金を受給している世帯です。
現時点で年金を受給できる方々は、比較的恵まれた受給環境にある
といえます。
しかし、日本全体で700万の高齢者世帯のうち、およそ40万世帯が生活
保護を受給しています。
実に、6%近い数字になります。
現在の日本の高齢者世帯は、18世帯に1世帯の割合で生活保護を受給
しているという計算です。
生活保護の受給開始事由で、最も多いのが「傷病」で全体のおよそ
40%。
ついで、「貯金などの減少・喪失」が13%。
これらの統計から見えてくるのは、高齢者世帯において、年金では
生活費をまかなう事ができず、労働して不足分を稼いでいた世帯が、
傷病により労働することができなくなり、生活保護を受給すること
になるケースが多いということだと思います。
先日、今話題のマイケル・ムーア監督による映画作品、
「ボウリング・フォー・コロンバイン」がTVで放送されていました。
そのなかで、米国の隣国であるカナダのリポートがありました。
これは、銃社会の米国との対比という意味合いで取り上げられた
レポートでしたが、都市部の住民であっても、家に鍵をかけず、
弱者は皆で助けるのが当然という国民性を監督自らがレポートして
いました。
そのレポートによれば、カナダには、スラム街という場所はなく、
怪我や病気を負った人は、手厚い社会保障を受けられるというもの
でした。
最近の日本の各種統計を見ていると、社会的な弱者が増えている傾向
がみてとれます。
『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』
これは、日本国憲法に定められた国民の権利です。
すべての人が等しく幸福に暮らせる社会でありたいものです。
《関連Webサイト》 生活保護110番