出生率「1.25」少子化が加速
将来人口を下方修正へ
~日経新聞 2006/06/02 1 面から
厚生労働省が1日発表した2005年の人口動態統計(概数)によると、1人の
女性が生涯に産むと推定される子どもの数を表す合計特殊出生率は1.25と
なった。04年の1.29を大幅に下回り、5年連続で過去最低を更新した。
政府は年金制度を維持するために1.39への回復を前提にしているが、
差が一段と開いた。厚労省は月内に年金制度の設計などに使う将来推計人口
の下方修正に乗り出す方針を決めた。「100年安心」を掲げて改革した年金
など、社会保障の見直しが避けられない。
●● 毎年のことになりますが、また推計人口の下方修正になりました。
政府側の偏った調査結果がこの国の危機感を削いでいます。
少子化の根本には、家庭よりも企業を優先し、経済大国への成長を
第一としたこの国の思想があります。
経済の拡大する中でも、GDP比でたった0.6%程度の予算しか少子化
対策にあてなかったこの国のゆがみがあります。
欧米諸国では、少子化対策にGDP比3-5%程度の予算をあてています。
日本は、欧米諸国の1/5~1/10という極めて少予算のみをあて、最悪の
出生率を生み出しています。
ちなみに、日本の公共投資はGDP比5-6%です。
逆に欧米諸国では公共投資はGDP比2%代が大半。
日本ではこれが逆転しているのです。
家庭よりも経済成長を優先している証明ともいえる数字です。
少子化対策に結果を出している諸外国を無視して、少子化への道を
まっしぐらに進んでいる日本。
この世界最速の少子化への道は、どうやら日本が選択した道である
ようです。
ただ、少子化について、悲観論だけではないことは確かです。
ここに『人口減少社会のマーケティング』という本があります。
https://www.iw-jp.com/am.php?id=4820117599
この本では、日本が少子化になり、人口減少が始まったのは、この
国の人口が飽和したためとしています。
日本の人口が飽和し、人間が本能的に持つ、人口抑制力が発揮されて
いることが最も大きな原因であるというのです。
また、この本には、「人口が減少する経済下では、ゼロ成長で
御の字である」という主張が記載されています。
これまでは、GDPが伸びれば個人の所得も伸びるという相関があり
ました。
しかし、人口減少社会では、人口が減るため、GDPを維持できれば、
個人の所得は伸びるという考え方です。
そして、人口という量が縮小する代わりに、生活の質が向上する
という論理が展開されています。
実際に、日本でも江戸中期には人口減少時代があり、この時代には、
芸術や文化が発達したということです。
価値が重要視され、質が向上する社会は、悪くありません。
社会構造の変化に対応していく必要がありそうです。
《関連Webサイト》 現代社会研究所
http://homepage1.nifty.com/gsk/