NHK受信料、家族割引を拡充、訪問集金は廃止
来年度から執行部方針
~日経新聞 2007/11/16 9 面から
NHKは家族割引の拡充などを柱とする新たな受信料制度を2008年度から
導入する方針を固めた。訪問集金廃止や「事業所割引」の導入も含め、
15日から視聴者の意見募集を始めた。9月末に経営委員会が却下した
約7%の値下げを柱とする経営計画案(08年度から5カ年)のうち、
執行部は一部施策を先行実施する構え。経営委の最終的な了承を得られ
れば、来年1月に国会提出予定の来年度予算案に盛り込む。
●● 2005年の数字になりますが、NHKは受信料収入6,300億円に対して、
契約収納費に819億円を支出しています。
NHK受信料のおよそ13%は集金コストであるという計算になります。
現在、受信料の支払い方向は下記のような分類になっています。
■
口座振替 73%
■ カード払 2%
■ 振込 10%
■
訪問集金 15%
現在でも全体の15%を訪問集金していることでも驚きですが、
高コストの訪問集金に要していた費用が年間70億円。
この70億円を丸ごと削減するという方針を打ち出しました。
ただ、この契約収納費の半分以上を占めているのが、NHK地域
スタッフと呼ばれる人への人件費です。
アンテナを探して、各戸を訪問し、新規契約のお願いをしている
人々です。
このNHK地域スタッフはNHKの職員ではなく、NHKから業務委託
契約を受けています。
全国に6,000名存在し、平均年収は550万円。
総額で、330億円程度の費用が発生しています。
このNHK地域スタッフの給与は月額15万円が基本給となり、あと
はすべて歩合となっています。
また訪問集金スタッフは基本的にNHK地域スタッフを兼任しており、
これまでは新規契約と訪問集金の業務を行っていました。
今後の方針では、訪問集金の業務を辞め、新規契約に集中することで
業務の改善を図るとしています。
先日、このNHK地域スタッフ195人がNHKに対し事務費の減額分
約2400万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こしました。
その内容としては、昨年のNHKの不祥事の影響で受信料不払いが急増し、
地域スタッフの歩合が大幅減となったため、NHKは歩合を引き上げて
減収を補てんしていたようです。
しかし、2007年度は受信料支払い再開の増加などを理由に補てん額を
一方的に引き下げました。
しかし、不祥事の影響による減収が続いているとして、訴えを起こした
ようです。
NHKは、職員11,000人のほか、この地域スタッフ6,000人の雇用も抱えて
いるのが現状です。
職員11,000人には、人件費総額1,900億円程度を支払っています。
地域スタッフも業務委託とはいえ、これまで十分な給与を支払い、
各人の家計を支えてきたといえます。
ただ、集金業務だけを見ても、高コスト体制であるということが明白
といえます。
業務改善策を早期に実施し、業績の早期回復が望まれます。
《関連Webサイト》 NHKご意見募集ページ
http://www.nhk.or.jp/css/iken/