赤福、無期限営業禁止処分に・店頭売れ残りを再出荷
~日経新聞 2007/10/19 43 面から
老舗和菓子メーカー「赤福」(三重県伊勢市)が冷凍保存した赤福餅(もち)
を解凍・再包装して出荷していた問題で、同社が店頭の売れ残り品を回収し、
製造日と消費期限を改ざんして再出荷していたことが18日、農林水産省の
調査で分かった。一部は餅とあんに分け、子会社に販売したあんが「原材料」
として再利用されていた。ずさんな衛生管理が浮き彫りになり、経営問題に
発展する可能性も出てきた。
●● 1707年創業の赤福は、今年創業300周年という記念すべき年でした。
赤福本店では、創業300周年記念の展示会も実施されていました。
1707年は江戸の中期、富士山の最後の噴火となる「宝永大噴火」が
あった年です。
忠臣蔵の仇討ちがあった年が1703年ですので、300年という歴史が、
どれほど長いものか判ると思います。
この300年続いてきた企業が、ここ30年間の偽装のため、その歴史を
終えようとしています。
多くの方が同じように感じていると思いますが、日本人として
とても残念でなりません。
現在の代表取締役社長である濱田典保氏は、創業から数えて11代目
になります。
2005年10月から社長に就任していますので、まだ2年しか経過して
いないことになります。
謝罪会見などでもこの方が一人矢面に立っていますが、おそらく、
今回明るみに出た偽装は、先代社長である濱田益嗣氏が先導した
可能性が高いでしょう。
典保氏はそれを引き継いだだけといえそうです。
マスコミなどの報道によれば、20年ごとに実施される伊勢神宮
式年遷宮による大幅な集客の増加と、おかげ横丁設立に費やした
膨大な投資のため、冷凍保存などの偽装に手を染めてしまったのが
ことの始まりのようです。
おかげ横丁設立は、売上高130億円の赤福が総額140億円を投資
するという社運をかけた事業であったようです。
このとき、先代社長の濱田益嗣氏の想いは、単純に創業地への貢献
であり、活性化であったと思います。
その結果、年間20万人と低迷していた通りを、年間300万人が訪れる
一大観光地へと変貌させることができました。
先代社長の濱田益嗣氏は、国土交通省の観光カリスマに選出されて
いますが、地域への貢献度は極めて高い方であるといえるでしょう。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanko/mr_hamada.html
しかし、皮肉にも同時期に手をつけた偽装によって、取り返しの
つかない結果を招いてしまうことになってしまいました。
赤福の社是は「赤心慶福」(せきしんけいふく)というもの。
まごころ(赤心)をつくすことで素直に他人の幸せを喜ぶことが
出来る(慶福)という意味です。
もう一度原点に返り、やり直すことは難しいのでしょうか。
《関連Webサイト》株式会社赤福
http://www.akafuku.co.jp/