ファストリ営業益38%増
前期単独、Tシャツなど夏物好調
~日経新聞 2004/09/03 19 面から
ファーストリテイリングの2004年8月期単独業績は、営業利益が前の期比
38%増の640億円程度に達したようだ。従来予想は627億円。猛暑でTシャツ
など夏物衣料の販売が好調だったほか、在庫管理の効率化で採算が大幅に
改善。4月の消費税総額表示の影響も客数増などで吸収した。「ユニクロ
ブーム」崩壊後の低迷期を脱し、三期ぶりの増益となった。
売上高は11%増の3350億円程度と、計画を約10億円上回ったもよう。前期は
フランチャイズを含め年間で78店を新規に出店し、8月末の国内店舗数は
637店となった。
●● ファーストリテイリング社は、2003年8月期の決算を底に、見事な
V字回復を始めています。
ただ、同社CEOである柳井氏にとっては、2001年のユニクロブーム
の方が、大きな誤算であったのかもしれません。
ブームの時期であった2001年と2002年の決算を除けば、売上・利益
などは、ほぼ順調な右肩上がりとなっています。
その柳井氏が 『これが私の最高の教科書だ』
との推薦文を寄せて話題になった「プロフェッショナルマネージャー」
という本があります。
一時期、アマゾンでも在庫切れになるほど売れていました。
この本の著者、ハロルド・ジェニーン氏は、米ITT社のCEOで、58四半期
連続増益という、世界的にも史上空前の記録を打ち立てた人物です。
この本で語られる経営論の中枢は、『三行の経営論』と称される次の
ようなものです。
本を読む時は、初めから終わりへと読む。
ビジネスの経営はそれとは逆だ。
終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをする
企業の経営は、最終的な到達点をあらかじめ定め、そこに到達するため
の方法を策定し、それを実行していくというものです。
起承転結でいえば、始まりである「起」と到達点である「結」は決ま
っているのです。
あとは、「結」になるために「承転」の部分のシナリオを作り、それ
を順番に実施していくのです。
方法は、いくらでもあります。
ありとあらゆる方法を繰り出し、必ず到達点を目指すのです。
柳井氏はこの本と出合った後、ユニクロの全国チェーン展開を掲げ、
その目標に見事期限内に到達しました。
ジェニーン氏を崇拝していた柳井氏は、おそらく、連続増収という
記録を目指していたのではないかと思います。
しかし、ユニクロブームとその終焉によって、連続増収は途切れて
しまいます。
ユニクロブームは、柳井氏がその年に目指していた到達点を、
大きく上回ってしまったのではないでしょうか。
ただ、再び業績を上昇させるところなどは、さすがは日本有数の
プロフェッショナルマネージャーだといえるでしょう。
今後のますます活躍が期待されます。