北米トヨタのセクハラ疑惑、大高CEO辞任
日米摩擦再燃を危惧
~日経新聞 2006/05/10 11 面から
トヨタ自動車の北米統括会社、北米トヨタは八日(米時間)、大高英昭社長
兼最高経営責任者(CEO、65)の辞任を発表した。大高氏は元秘書から、
セクハラ(性的嫌がらせ)を受けたとして損害賠償請求訴訟を起こされて
いた。経営陣の刷新や調査チームの発足で、事業の核になる北米での販売
への影響を最小限に抑える構えだ。
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●● この事件は、下記の点で社会的に大きな意味を持つ事件といえます。
■米自動車会社の不調とトヨタの好調
■大高元社長は日米摩擦解消の切り札的存在
■極めて高額な訴訟金額
単純なセクハラ事件で片付けられる問題ではないようです。
大高氏は、およそ10年前の1996年に、トヨタ自動車本社の取締役に
就任しています。
1999年には、トヨタ子会社の広告会社に社長として就任。
就任時、58歳の大高氏にとって、子会社の広告会社の社長就任は、
当時は、氏の経歴の最後を飾るものであったと考えられます。
しかし、2年前の2004年6月、奥田碩会長直々の要請により、北米
トヨタ社長に請われます。
そのとき、大高氏は63歳。
国内子会社社長から、極めて異例の人事により、北米のトップへと
就任したのです。
トヨタにとって、北米は、日本国内を凌ぐ巨大市場です。
全世界販売台数700万台のうち、およそ1/3の240万台を北米で販売
しています。
日本国内の販売台数は170万台。
北米での販売好調が、今のトヨタの躍進を支えているとっても過言
ではありません。
その北米トヨタトップに、大高氏が異例の人事で就任した理由は、
「日米摩擦解消」この1点だったといえます。
大高氏は、米議会のロビイストに日本人として初めて登録される
など、米の政財界に広い人脈を持ちます。
トヨタが北米戦略において最も懸念している日米摩擦の解消に、
最も適した人材だといえました。
大高氏が就任したあと、トヨタは北米における寄付額を大幅に引き
上げるなどの施策を着実に実施してきました。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20060307/100487/
http://www.nikkei.co.jp/chubu/series/ser1_1.html
その結果、現時点では、自動車販売において、大きな日米摩擦は発生
しておりません。
しかし、今回の事件は、このようなトヨタの努力を水泡に帰する
可能性さえ秘めています。
訴訟金額の大きさから、日米で大きく報道されている今回の事件
ですが、米国で日米摩擦解消のために活動している北米トヨタ社長
がその対象であることから、米国民の印象の悪化は避けられません。
大高氏は、事実関係を否定していますが、辞任に追い込まれました。
今後の展開は不透明ですが、好調なトヨタにとって、極めて大きな
事件となりそうです。
《関連Webサイト》 トヨタ自動車
http://www.toyota.co.jp/