情報漏れ防止で新事業
~日経新聞 2004/03/12 11 面から
続発する企業からの個人情報流出事件を受け、情報漏えいを防ぐための
安全対策商品が続々と登場し始めた。社員ら組織内部からの情報漏れを
防ぐ対策が中核で、三菱電機や大日本印刷は建物の出入りから個人認証
による情報閲覧制限などを包括管理できるシステムを開発。問題点を
洗い出す監査サービスや損害を補償する保険も相次いでいる。
●● 最近、企業の大きなリスクとして、顧客情報の流出がクローズアップ
されてきました。
先日、最大約66万人の顧客情報が漏れた可能性を公表した
ジャパネットたかたは、現在テレビ・ラジオによる通通販業務を
停止しています。
ウェブサイトにも、お詫びと報告の表示があるだけで、営業活動は
完全に停止している状態です。
http://www.japanet.co.jp/
ジャパネットたかたは、今年ちょうどテレビショッピング10周年
を迎え、先月から新聞折込チラシを全国一斉配布し、テレビなど
でも頻繁にCMを放送していました。
今回のテレビ・ラジオによる通販活動停止による損失は数十億円に
のぼるとみられています。
年商600億円・経常利益30億円の企業にとって、年間の利益額にも
匹敵する非常に巨額な損失です。
報道にはありませんが、おそらくジャパネットたかたもこの情報
漏洩に対して保険をかけるなどというリスクヘッジは行っていな
かったでしょう。
そのため、今回生じた巨額の損失は、すべて自社でまかなうしか
ありせん。
先月、顧客情報の流出が露呈したソフトバンクグループも、総額
40億円を費やして、会員400万人すべてに500円相当の金券を送ると
発表しました。
顧客情報の厳密な管理は、上場している大企業であっても、一企業
だけでは、手に負えない状況になっているといえます。
そして、たとえ数名であっても、顧客情報の流出が露呈した場合、
その事実が企業に与える損失は想像以上に巨額のものとなります。
このリスクに目をつけた企業が、顧客情報流出防止や、情報漏れ時
損害を補填する保険などを相次いで発売しはじめました。
今後、これらのサービスや保険を利用する企業が増えることは間違い
ないでしょう。
ただ、顧客情報漏洩対策に要した費用は、すべて商品の販売価格に
転嫁されます。
企業が営利目的である以上、これは仕方のないことですが、悪意の
利用者が増えれば増えるほど、善意の利用者が支払うコストは増えて
いくのです。
《関連Webサイト》
大日本印刷株式会社