本人確認は合言葉・巣鴨信金、盗難にローテク対策
カード発行せず
~日経新聞 2005/02/09 7 面から
巣鴨信用金庫(東京・豊島)は盗難や偽造された通帳やキャッシュカード
による被害を防ぐため、運転免許証などの顔写真のほか合言葉で本人確認
する新型口座を16日に導入する。キャッシュカードは発行せず、口座の
ある支店の窓口でしか預金を引き出せない。情報技術(IT)を活用した
ICカードの採用に動く大手銀行とは対照的な“ローテク回帰”。高齢者
の顧客にも違和感なく受け入れられ、導入コストも抑える一石二鳥を狙う。
●● 銀行支店周辺の高齢者をターゲットにした新しいサービスが登場
してきました。
下記のような驚くほどローテクな内容となっています。
○キャッシュカード発行なし通帳のみ
○引き出しは窓口のみ
○しかも、口座のある支店のみ
○窓口での本人確認は、免許証などが必要
○さらに合言葉による認証が必要
○口座維持手数料がかかる(年間1,260円)
ただ、便利さよりも安全性を重視する高齢者にとって、手数料が
かかること以外は、それほど問題となる部分ではないのかもしれ
ません。
銀行も、本格的にユーザーを見て、サービスを提供するように
なってきた証左ともいえる事例です。
先日、UFJ銀行が、ICカードの無料発行と、キャッシュカード
偽造・盗難被害者への補償の検討を発表しました。
大手都銀が横並びではなく、サービス内容の革新を発表する
ということは、これまでの流れから見るとかなり異例のことと
いえます。
特に、カード偽造問題への補償については、すべての銀行が
ほとんど言及することさえなかった問題です。
UFJが他銀に先駆けて、前向きな検討を表明する形となりました。
ただ、今後は、おそらく、銀行の横並び意識がプラスに働き、
多くの銀行がUFJ銀行のサービスに追随する形となりそうです。
しかし、ICカードに変更すれば、偽造は100%防げるかというと
必ずしもそうではありません。
UFJのICカードの場合、ICチップと共に現状と同じような磁気
情報も搭載されています。
これは、ICカードに対応したATMが少ない上、異なる銀行ATM間で、
ICカードに関する互換性がないためです。
磁気部分による引き出しに金額制限を設けるなどの対策をして
いますが、全銀行のATMがICカードに対応し、さらに互換性を
持つような環境へ移行しない限り、カードから磁気情報を消す
ことは難しそうです。
ICカードの無料化は、その第一歩といえるでしょう。
≪関連Webサイト≫ 巣鴨信用金庫
http://www.sugamo.co.jp/