郵政公社、楽天と提携 ネット競売商品を匿名配達
「ゆうパック」テコ入れ
~日経新聞 2006/07/07 5 面から
日本郵政公社と楽天は6日、ネットオークション(競売)の商品を匿名で配送
するサービスで提携すると正式に発表した。出品者と落札者が匿名で商品を
やり取りし、代金は後払いとするシステムを共同で開発。今秋にサービスを
始める。郵政公社は2007年10月の民営化を控え、不振が続く郵便事業のテコ
入れにつなげる狙いだ。
●● 今回発表された新しいサービスは、ネット上の匿名性をオフラインの
配達の部分にまで広げるサービスです。
これまでの一般的なネットオークションでは、どうしても、住所など
の連絡先を相手に公開する必要がありました。
この点が、一人暮らしの若い女性などにとっては危険を伴うため、
利用が控えられる要因となっていました。
また、個人間の取引が主体になるネットオークションでは、個人情報
保護法の対象外となることが多く、重要なプライバシー情報が流出
する危険性が高いことも確かです。
そこで、ネットオークション事業を展開している楽天と、日本郵政公社
が提携して、IDのみで商品を配達する仕組みを構築するようです。
国内シェア80%を誇るヤフーオークションに圧倒的に差をつけられ、
業界3位の楽天は、ユーザーの望むサービスの提供で、シェア奪回に
望みをかけます。
一方の郵政公社も必死です。
手紙やはがきなどの郵便物配達量が年々目減りしている今、ゆうパック
は、郵政公社の生命線ともいえる商品です。
宅配便業界最大手のヤマト運輸とは、熾烈な競争を繰り広げています。
日本郵政公社は、発足後、ヤマトの取引先だったローソン、サークルK
サンクス、東武百貨店などの小売業者と契約を結び、ヤマトは年間で
1700万個弱の荷物取り扱いを失ったといいます。
ローソンでの宅配便取り扱いについては、いまだに、両社で係争中と
なっています。
また、ヤマト運輸子会社社長を辞任した元幹部を、日本郵政公社が部長
級社員として採用していたことについても先日報道されていました。
ただ、民営化とはいえ、郵政公社には、現在、圧倒的な優遇措置があり
ます。
これは、先般、道路交通法改正により強化された放置駐車違反取締り
において、郵便局の車のみ完全に免除されているということです。
ヤマトや佐川の配達車は、もちろん規制の対象ですが、郵便局の車
だけは完全に免除されるという法律となっているのです。
この件に関しては、あまり大きく報道されていませんが、大きな優遇
措置であることは間違いありません。
道路交通法が改正された時期から考えると、郵政公社優遇のための
改正と考えられないこともありません。
民間業者にとっては、厳しい事態ですが、なんとか郵政公社を上回る
よいサービスを提供していただきたいものです。
《関連Webサイト》 楽天オークション
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