TV録画 海外へネットで転送 禁止の仮処分
「放送事業者の権利侵害」 東京地裁
~日経新聞 2004/10/08 社会 面から
海外からインターネットを通じテレビ番組を録画して視聴できるようにする
サービスは、著作隣接権の侵害だとして、NHKと東京の民放キー局5社が、
サービスを提供している千葉県の業者を相手に番組録画の差し止めを求めた
仮処分申請で、東京地裁(頼晋一裁判官)は7日、同サービスでの番組録画
を禁止する決定をした。
●● インターネットを活用した新しいサービスでしたが、著作隣接権の
侵害に相当し、サービスを停止することになりそうです。
このサービスを提供していたのは、有限会社 エフエービジョンという
ベンチャー企業です。 http://www.favision.com/
サイトに社外顧問として、弁護士の名前も記載されていますので、
法的な根拠も確立してからのサービス開始であったことが伺えます。
ただ、現在、顧問弁護士のホームページは閉鎖されているようです。
エフエービジョンが提供していたサービスは、「録画ネット」という
ものです。 http://www.6ga.net/
仕組みは非常に巧妙であったといえます。
まず、海外の利用者1人ごとに1台ずつ、テレビチューナー付き
パソコンを販売します。
そして、そのパソコンを、エフエービジョン事務所内に設置して、
テレビアンテナにもつなぎます。
海外の利用者は、インターネット経由で、このパソコンを操作し、
希望のテレビ番組を録画・閲覧できるという仕組みです。
NHKと在京キー局5社が同サービスの差し止めを求める仮処分申請
をした際、エフエービジョン社は「利用者が自分の所有するパソコン
で自分が望む番組を録画しているにすぎず、違法ではない」と反論
していました。
しかし、東京地裁は、「実質的に録画代行と変わりなく、利用者の
私的な複製とは言えない」との判断を下し、放送を録画などで複製
する権利(著作隣接権)の侵害に当たると、同社のサービスを禁止
する決定をしました。
同社は、このサービスを「テレビパソコン ハウジングサービス」
と称し、ビジネスモデル特許も申請していました。
同社のホームページの「お客様の声」には、海外利用者の喜びの
声が掲載されています。
海外利用者にとって、非常に貴重なサービスであったことが伺え
ますが、残念ながらサービスの継続は難しくなってしまう可能性
が高いといえます。
著作権料を支払うといった方向での解決はありうるのでしょうか。
《関連Webサイト》 社団法人 著作権情報センター http://www.cric.or.jp/