他行顧客もATM無料 東京スター銀行
富士通に業務完全委託
~日経新聞 2004/04/14 7 面から
東京スター銀行は13日、他行の顧客でも同行の現金自動預け払い機(ATM)
を無料で使えるようにすると発表した。約1700金融機関の顧客が利用可能で、
サービス開始は5月から。これに伴い、ATM関連の業務を富士通に全面委託
し、台数も現在の120台から約2000台に増やす。ATM業務の完全委託は銀行
では初めてという。
●● 東京スター銀行のホームページには、次のような文句が掲載されて
います。
Financial Freedom
お金の心配のない、経済的な自由を手に入れるために。
お客様をサポートいたします。
ビジネス書の表紙に載っているキャッチフレーズであれば、特に
めずらしくもないフレーズですが、これが、日本の一地方銀行の
ホームページトップに掲載されているとなると、印象は大きく
異なってくると思います。
東京スター銀行の前身は、1999年に破綻した東京相和銀行です。
2001年に、アメリカの投資ファンド・ローンスターが東京相和銀行
の首都圏店舗の営業譲渡を受け、営業を再開しました。
東京スター銀行の『スター』は、投資ファンドであるローンスター
から取られたものだと考えられます。
ローンスター社は、欧米の大学基金や、国や州の年金基金などを
主体とした投資ファンドを運用している会社です。
ローンスターは2002年に、主に日本へ投資するためのファンド
「ローンスター4」を立ち上げました。
ファンド総額は、およそ42億ドル(5000億円強)の規模で、その
大半が日本への投資にあてられます。
新生銀行を買収して再上場させたリップルウッド・ホールディングス
と、東京スター銀行とローンスターの関係は非常によく似ています。
ローンスターも、東京スター銀行の再上場を視野に入れており、
年内にもその目標は達成されるのではないかといわれています。
リップルウッド社、ローンスター社ともに、その再建手法は極めて
明快です。
投資家から集めた資金で破綻した企業を買収し、トップにその業界
で経験を積み、実績を上げている経営者を招聘し、再建を任せる
という方法です。
日本には、この「企業再建ファンド」という分野の経験が乏しく、
完全に米国の後塵を拝している状態です。
東京スター銀行は、大手都銀が貸し渋っている中小企業をメイン
ターゲットにすることで成長を続け、設立後2年で預かり預金残高が
1兆円を超えるまでになりました。
日本の景気回復も、こうした米国投資ファンドの力に負うところが
大きいのかもしれません。
《関連Webサイト》 東京スター銀行