上場企業、株主へ6兆円利益配分
配当や自社株買い
~日経新聞 2005/02/04 1 面から
上場企業で配当と自社株買いを合わせた株主への利益配分が2004年度に
約6兆円に達し、過去最高になる見通しだ。今年度の自社株買いは初めて
3兆円を超え、年間の配当額もほぼ同額に膨らむ。企業の利益のうち株主
への配分は約4割に達する見込みで、株主重視の姿勢が鮮明になってきた。
●● 昨今、日本では、株主への利益配分が確実に増加しています。
日経記事によれば、上場企業全体の株主配当の金額は、株主資本
額の3.6%程度。
うち、配当金による還元は、およそ半分の1.8%。
極めて単純に考えれば、上場企業に資金を投資すれば、毎年
1.8%の単利にて、配当を受け取れる計算になります。
100万円の投資で、年間18,000円の配当です。
銀行の普通預金金利が0.1%を切る時代に、株式市場は、相当な
高金利の投資先といえます。
しかも、今年から4年間は、配当に関する課税が10%の源泉徴収
だけで済みます。
そのため、配当金額の90%が手取り金額となります。
預金や国債の利息は、20%源泉徴収されますので、この面でも
大きなメリットがあります。
先日、竹中経済財政相が日本経済の現状について「もはやバブル
後ではない」と宣言しました。
この言葉は、特に企業の経済状況に見事に当てはまります。
バブル崩壊直後の企業は、全体で、単年度の収支が赤字の状態に
ありました。
そのころ、逆に、国民の家計は全体で黒字の状態でした。
しかし、現在、国民の家計が赤字ぎりぎりの状態にあるのに対し、
企業の年間の収支は大幅な黒字に転じてきています。
企業がリストラなどで支出を抑えたことにより、企業には利益が
発生し、その分、家計が圧縮された格好です。
バブル後、人件費は一向に上昇する気配を見せていませんので、
今後しばらくはこの傾向が続くと見られます。
そして、唯一、家計への収入としてこの株主配当が年々増加して
いるというのが、現在の日本の経済状況といえるでしょう。
このような状況を考えたとき、株式市場への投資は大きな意味を
持ってきます。
企業から家計へ、資金の流れるパイプを持っている人と持って
いない人では、大きな差が生じているといえるのではない
でしょうか。
≪関連Webサイト≫ 竹中平蔵
公式ウェブサイト
http://takenakaheizo.cocolog-nifty.com/
参考文献:日経ビジネス1/24号