100円で株主の時代?
~日経新聞 2005/01/20 19 面から
宝飾品販売のシーマが前週末に発表した大幅株式分割が話題を呼んでいる。
1月31日付で1株を101株に分割する予定で、前週末の終値996円を基準にする
と分割後の値段は9.86円。売買単位は10株なので、計算上は約100円で株主に
なれる。400円程度から買えるライブドア株をさらに下回る。
分割発表後のシーマ株は「株式分割企業の株価は上昇する傾向がある」と
いう思惑人気から19日まで3日連続のストップ高。対面営業の証券会社で
この株式を100円で買えば数千円の手数料がかかるだけに「ますます手数料の
安いネット証券に顧客が流れる」と嘆く声も。
●● 株価高騰のための裏技とも言える100分割を実施する企業がでて
きたようです。
これまでも、下記のような企業が株式の100分割を実施しています。
エッジ(現ライブドア)
バリュークリック
モスインスティテュート
ゼクー
最初にこの株式100分割というスキームを実施したのが、現在の
ライブドアであるエッジです。
分割が実施されたのは、2003年12月25日のクリスマスのこと。
分割の実施後、ライブドアの株価は、翌年の1月20日まで15営業日
連続ストップ高となりました。
15日連続ストップ高という事態は、前代未聞の異常事態として、
当時多くのマスコミで取り上げられていました。
連日のストップ高で最も値を上げた1月21日には、分割前のおよそ
10倍という株価まで達していました。
業績や人気などは全く無関係に、ただ単に株式を分割するだけで、
株価を10倍にしたのです。
しかし、その後ライブドア株は連日ストップ安をつけるなど、
大幅に値を落とし、2004年3月ごろには、すっかり分割前の
株価水準に戻っています。
その後、ライブドア株はさらに10分割を実施し、株価の高騰を
演じていますが、結局は2003年12月の分割前の水準とかわらない
株価に落ち着いています。
ライブドア2年分の株価チャート
http://qrl.jp/?162693
100分割などの大幅な分割後に株価が急騰し、しばらく経つと
急落に見舞われる現象には、明確な理由があります。
これは、日本の株式市場のシステムの問題です。
日本の株式市場では、株式の分割を実施すると、分割して増えた
株式は、2ヶ月程度売買することができません。
そのため、100分割が実施されると、99株分は売買できず、
分割前の1/100の株式しか売買できないのです。
ある日いきなり、売買できる株式が1/100になれば、供給が
逼迫し、値が上がるのは当然です。
理論上、価格が100倍になってもおかしくありません。
しかし、売買できなかった99株分が市場に戻ったとき、
一気に供給が潤沢になるため、株式の需給関係はほとんど
分割前の状態に戻ります。
最終的には、一株の株価が調整され、単純に分割数で割った
価格に戻ります。
そのため、結局は株式の売買で儲けることは難しいのですが、
短期的な株価の上下で利益を得ようとする投資家が一斉に
集まってくるようです。
≪関連Webサイト≫ 株式会社 シーマ
http://www.cima-ir.jp/