オーベン上場廃止転落の教訓
~日経新聞 2008/04/18 面から
ネット関連企業のオーベン(旧アイ・シー・エフ)が19日、東証マザーズ
から退場する。派手なM&A(合併・買収)を繰り広げ、買収先の価値を
過大に見積もって上場廃止を迫られた構図はライブドアと同じ。オーベン
の転落の軌跡から見えてくるのは、市場の公正な取引を担うインフラの
底の浅さと投資家の未熟ぶりだ。
●● あのライブドア事件から、2年が過ぎました。
堀江貴文被告の報道などは、すっかり影を潜めていますが、
ライブドアと同様の手口によって株価操作を繰り返し、一部関係者
のみが利益を得ていた企業が存在していました。
その企業は、東証マザーズに上場していたIT関連企業の株式会社
オーベン。
ただ、社名のオーベンはライブドア事件発覚後に商号を変更した
もので、M&Aを繰り返していた時期の社名は、アイ・シー・エフ
でした。
また、M&Aを繰り返していた時期は、2004/1から2006/1までの
期間。
ライブドアがM&Aを繰り返していた時期とぴったり重なり、堀江
被告が逮捕された2006/1にM&Aがぴったり止まるという形に
なっています。
同社の株価もこの期間に高値をつけています。
http://tinyurl.com/5v9sz5
2005年には最高値で50万円近くあった株価は、2006/1以降急落し、
現在の株価は5,000円程度。
最高値の1/100の水準になっています。
オーベンがM&Aに多用した方法は、ライブドアと同じ株価交換
方式。
買収した企業はおよそ2年間で16社。
買収総額は120億円に上ります。
株価交換方式が利用できると、企業は自社株式で、他の企業を買収
することが可能になります。
これは、ある意味、株式という通貨を自社で発行し、その通貨で、
他企業を買収できるのですから、通常、国だけが持つ通貨発行権
を行使できると言うことになります。
通貨発行権は非常に強い力となりますので、これを悪用されると
今回のような大きな問題へと発展してしまいます。
しかも、その通貨は、株価によって変動しますので、株価が上がれば
通貨価値が上がり、同じ株式でさらに高額の資金が調達できるという
意味を持つことになります。
そして、騙されるのは、いつも一般の投資家です。
このオーベンの件でも、騙されたのはこの企業の株に投資した一般
投資家。
実質よりも株価が大幅に値上がった時点で株を購入した投資家です。
自己責任といってしまえばそれまでですが、虚偽の報告書が正々堂々
とまかり通る制度自体に大きな問題があるといえます。
株式市場を底辺から力強く支えているのも一般投資家です。
一般投資家が安心して投資できる市場の構築が急務といえます。
《関連Webサイト》株式会社オーベン
http://www.orben.co.jp/