みずほ証券、大量発注ミス 損失270億円
新規上場株売買
~日経新聞 2005/12/09 1 面から
みずほ証券は8日、東証マザーズに同日新規上場した人材サービスのジェイ
コム株の売買注文をめぐり、誤って大量の売り注文を出し、同日時点で
270億円の損失が発生したと発表した。売り注文は61万株とジェイコムの
発行済み株式数(1万4500株)の40倍超の規模。安値で取引が成立した結果、
高値で買い戻しを迫られるため、今後、損失はさらに膨らむ可能性がある。
注文ミスの余波が懸念され、東京株式市場はほぼ全面安となり、日経平均
株価は今年3番目の下げ幅を記録した。
●● 好事魔多しということでしょうか、好調な日本の株式市場に、
とんでもない事件が発生してしまいました。
発端は、極めて単純なケアレスミスです。
61万円1株の注文を、1円61万株と間違えたというもの。
発注後の警告画面を無視して、発注をかけてしまったため、市場
全体が大きく下落してしまうような大事件へと発展してしまい
ました。
また、このケアレスミスを大事件に広げた要因に、インターネット
の存在があります。
みずほ証券が誤発注を実行してしまったのは9:27のこと。
その直後の9:31からヤフーの掲示板には誤発注を指摘する書込が
大量に流れ込みます。
http://tinyurl.com/aurtd
ストップ高になり売買が停止するまでの16分間の間に、100件程度
の書込が追加され、この掲示板を発端に、多くの人が買い注文を
入れている様子が分かります。
現在、この掲示板への書込は、昨日だけで3000件を超え、ヤフーの
書込ランキングで1位となっています。
http://tinyurl.com/cds7h
みずほ証券が、この誤発注で被った損害は、昨日だけで270億円。
また、日経平均が300円下落するなど、市場全体の損失は、極めて
大きな数字になりそうです。
そのなかで、最も影響が大きいのは、誤発注を受けたジェイコム
株式会社といえそうです。
http://www.jcm.co.jp/
同社の株は、本日から取引停止にされています。
同社ホームページのリリースによりますと、ジェイコム株の
流通株式数は3,000
株ということです。
誤発注により、現在まだみずほ証券が買い戻さなくてはならない
株式は10万株を超えています。
これは、流動株式数の30倍以上。
昨日、ジェイコム株を購入して、まだ保有している大半の人は、
架空の株式を保有していることになるのです。
この架空の株式10万株を、みずほ証券はすべて買い戻す必要が
あります。
高く売りたい投資家と、安く買いたいみずほ証券。
しかも、決済までに残された期日は、あと4日しかありません。
交渉がスムーズに進むとは考えにくく、間違いなく、大きな混乱を
招くでしょう。
61万円の注文が270億円の損失になってしまった発注担当者の
責任よりも、システム全体の見直しが急務といえるのではないで
しょうか。
ケアレスミスによる誤発注は、これまでも数回生じていますが、
何も改善されていないシステムに、大きな問題を感じます。
《関連Webサイト》 みずほ証券
http://www.mizuho-sc.com/