財布のヒモ」緩める企業、なお続く「カネ余り」
投資・人件費増鮮明に。
~日経新聞 2005/12/06 3 面から
日本企業の投資や支出の拡大基調が鮮明になってきた。財務省が5日発表
した今年7―9月期の法人企業統計によれば、設備投資が十・四半期連続で
前年同期を上回ったほか、総人件費も五・四半期連続で増加。好業績を
背景に「財布」のヒモをじわり緩め始めた格好だが、現金収支が投資を
上回る「カネ余り」の状況はなお続く。資金をどう有効活用するかが
大きな課題にもなっている。
●● リストラにより個人所得が伸び悩む中、業績を回復させてきた
企業に資金が集中しています。
現在、日本企業全体の資金余剰額は5兆円規模といわれています。
バブル期の日本企業は、地価の高騰により、見えない含み資産
を持っている状況になっていましたが、実際の現金資金の余剰
はなく、日本企業の全体では資金不足になっている状態でした。
そのため、現在の日本企業は、バブル期よりも実質的な資金に
大きな余裕がある状態にあるといえます。
資金の余った企業によって、バブル期以降低迷していた法人需要が
回復しつつあります。
ゴルフ会員権・ホテル宴会場・ハイヤー・お歳暮など、企業の
余った資金が、徐々に流れ込んでいます。
今朝の日経1面に掲載された「上場企業の自社株買い、過去最高」
の記事も、まさにこの余った企業資金が投入された結果といえ
ます。
日経5面には、経団連会長の奥田氏による、日本全体がバブル期の
雰囲気を呈しているとの懸念が掲載されていますが、この企業の
資金余剰状態を考えると、現在の株高は、極めて正常な状態と
いえるのではないでしょうか。
現在の日本経済の状態は、リストラによって削減された個人資金が、
企業に流れ込んでいる状態といえます。
この企業に流れ込んだ資金が個人所得に還元される方法としては、
企業の自社株買いか増配・株主優待などになります。
いずれにしても、企業の株を購入しない限り、この恩恵にはあず
かれません。
このことに気づいた個人投資家が、株への投資を進めたという
流れは、極めて順当な流れだといえるのではないでしょうか。
現在、日経平均銘柄の単純平均利回りは0.8%
ジャスダック平均では1.2%です。
これは、銀行預金や国債利回り(10月・0.55%)を上回る数字です。
しかも、2008年まで、配当にかかる税金は10%と、預金や国債の
半分となっています。
株価が全く変化しない場合を想定すると、預金や国債よりも株式の
配当の方が断然有利であることが分かります。
現在の株式市況には、バブルの頃とは全く異なる背景があると
いえます。
《関連Webサイト》 株主優待倶楽部
http://www.miobeans.com/kabuyou/