村上ファンド、阪神タイガーズ上場提案
選手に株式購入権
~日経新聞 2005/10/05 1 面から
阪神電気鉄道の筆頭株主となった村上世彰氏が率いる投資ファンド、M&A
コンサルティング(東京・港)が阪神電鉄に対して、傘下のプロ野球球団、
阪神タイガースの株式上場を提案していることが4日、明らかになった。
数年内に阪神タイガース株の公募・売り出しを実施、大阪証券取引所
ヘラクレス市場に上場する内容。選手に株式購入権(ストックオプション)
を与えることも盛り込んだ。
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●● これまでの経緯を観ると、村上世彰氏は、子会社の上場廃止に乗じ
たり、優勝による株価上昇の裏に隠れたりと、極めて周到に阪神電鉄株
の買収を計画し、見事に実現してきたようです。
株の世界で、村上氏が日本有数のプロであるのに対し、阪神電鉄の
経営陣は、アマチュア同然といえます。
一昨日、阪神の星野仙一シニアディレクターは、下記のように語り、
村上ファンドに対して、怒りをあらわにしています。
非常に残念だし、悔しい。憤りを感じる。
タイガースは公共のものであって、私的なものじゃない。
村上さんも大阪出身で阪神ファンだと思うけど、今回の件は
ファンが許さないよ。
わたしも野球界にお世話になった人間として、
タイガースを愛するものとして、許せないね
この言葉は、多くの阪神ファンの気持ちを代弁していると思います。
しかし、客観的かつ現実的に考えてみたいと思います。
まず、会社は誰のものでしょうか。
これは、ライブドアによるフジテレビの買収以来、いろいろと語ら
れている議論ですが、日本の法的な定義は、下記のようになって
います。
会社は、営利を目的とする社団法人である
社団法人とは、下記の要件を満たす団体のことを指します。
社員と呼ばれる構成員が存在し、各々が出資している
社員全員で構成される社員総会が最高の意思決定機関
として置かれている
社員に利益を分配している
ただし、ここでいう社員とは、「出資している」構成員のことです。
すなわち、一般的にいう、従業員ではなく、株主のことを指します。
よって、日本の法的な観点から判断すると、会社は株主のもので
あると判断してよいといえます。
そして、会社の経営権をもつ取締役会は、株主からの依頼で会社の
経営を司るメンバーといえます。
株主でない経営陣が、株主に対して反発するという事態は、上記の
観点から見ると、ありえない状況といえます。
また、村上ファンドの標的となる会社は、株主価値が本来の価値より
低く抑えられている会社です。
会社の経営者と所有者が分離している場合、経営者の努力不足により、
所有者である株主が目に見えない損失を被っている状態の会社といえ
ます。
昨年、ソフトバンクに売却されたダイエーホークスの売却価格は
200億円程度とみられています。
この数字を参考にすると、売上規模や経営状況から見て、阪神
タイガースの球団としての価値は、1000億円程度と考えられます。
阪神電鉄株高騰前、株価400円で計算すると、阪神電鉄の時価総額は
1400億円程度でした。
現在の株価1000円でも、時価総額は3500億円程度。
この数字をみる限り、明らかに株主価値が低く置かれていたと判断
できそうです。
大株主となった村上ファンドの要求は、会社人事にまでおよぶとの
予測が流れています。
巨額の資金を抱え、村上ファンドの勢いはますます増しています。
今後、株主価値に配慮する上場企業が急増していくかもしれません。
《関連Webサイト》阪神タイガース公式サイト
http://www.hanshintigers.jp/