ワールド、株式非公開発表 11月にも上場廃止


ワールド、株式非公開発表 11月にも上場廃止

   

      ~日経新聞 2005/07/26 1 面から



東京、大阪両証券取引所第一部に上場するアパレル大手のワールドは25日、
経営陣による企業買収(MBO)で株式を非公開にすると正式に発表した。
11月にも上場を廃止する。記者会見した寺井秀蔵社長は「アパレル事業は
変化が激しい。短期間で成果を求める市場の声に左右されることなく、
中長期的な視点で経営することが適当」と狙いを説明した。


●● 究極の企業買収防衛策ともいえる株式非公開化が、ついに日本でも
   経営者の選択肢のひとつとなってきたようです。


   株式上場の大きなメリットは下記の3点。

    1.知名度の向上

    2.市場からの資金調達

    3.株式価値の向上


   逆に言えば、上記の3点に魅力を感じない企業にとって、株式の
   上場は下記のデメリットの方がクローズアップされてきます。

    1.企業買収のリスク

    2.株主への利益還元

    3.上場維持やIR活動などのコスト


   昨今、村上ファンドなどに代表されるもの言う株主の台頭や、
   ライブドア問題などによる企業買収リスクの顕在化によって、
   株主への増配を決定したり、ポイズンピルなどの企業買収策を
   講じる企業が急増しました。

   ただ、上場している限り、株主を選択することは不可能であり、
   また、どのような策を講じても、企業買収を完全に封じることは
   できません。

   株主の固定化と、企業買収リスクの解消には、株式の非公開化が
   最も効果の高い究極の方法といえます。


   今回、株式非公開に踏み切ったワールドは、まさに、株式上場の
   メリットが必要なく、デメリットの方が大きいと判断される企業
   でした。

   知名度高く、業績が好調で、今後大きな資金調達を必要としない
   上場企業は、既に上場によるメリットを享受し終えているといっても
   過言ではありません。


   特に、ワールドのように、創業オーナー一族が大株主である企業が
   株式非公開を選択するということは、極めて順当な方策であると
   いえるでしょう。


   今回の報道を受け、ワールド株は急速に買われています。

   10:30現在、前日比+360円の4,720円まで買われています。

   株式非公開へ向けたTOBの価格が、4,500円超という報道が原因と
   考えられます。


   事業再生が目的でない優良企業の株式非公開化は、日本では初めての
   ケースとなります。

   今後の動向を注視している企業は多いと思います。


《関連Webサイト》 ワールド
http://www.world.co.jp/