新入社員の3割「将来フリーターになるかも」
~日経新聞 2004/06/18 社会 面から
今年度の新入社員の約3割が「将来フリーターになる可能性がある」と考えて
いることが17日、社会経済生産性本部などの調査で分かった。一方、就職先
を選ぶ際「会社の将来性」を最も重視した人は過去最低水準の10%。リストラ
の不安を抱えながら、会社にしがみつこうとせず、フリーターも進路の一つ
として意識している現状が浮き彫りになった。
●● イソップ童話に、『きんのたまご』という話があります。
農夫が金の卵を産むにわとりを見つけます。
農夫は、そのにわとりを連れ帰り、にわとりが毎日産む
金の卵でお金持ちになります。
ある日、農夫は、金の卵がたくさん欲しくなり、
そのにわとりの腹をさいてしまいます。
しかし、腹の中に金の卵は無く、農夫は、金の卵を
産むにわとりをも失ってしまいました。
企業にとって、将来金の卵を産むにわとりは、採用した新入社員
といえます。
しかし、その新入社員の3割が、将来企業を辞める可能性があると
考えているのです。
また、学生時代に、将来、フリーターになっても構わないと
考えていた新入社員およそ2割を加えると、約半数の新入社員が
新卒で就職した企業を将来辞める可能性があるといえます。
30年前、新入社員が就職する企業を選ぶ際の基準として、会社の
将来性を一番に考えていました。
しかし、現在では、会社の将来性を重視する新入社員は10%程度に
低下しています。
代わりに、自分の能力や個性をいかすことを一番に重視する人の
割合が30%を超えてきています。
30年前の会社の将来性を考えて就職してきた新入社員と、業績の
向上を目指す企業とは、ほぼ同一の目的を持ち、同じ方向へ進んで
いくことが、比較的容易に実現できたといえます。
しかし、自分の個性や能力を伸ばしたい新入社員と企業との間で
同一の目的意識を持つためには、新入社員が的確な企業を選ぶか、
企業が適切な配置を行う必要があります。
採用の際にミスマッチがあった場合、新入社員・企業両者ともに
不幸といえます。
現在は、採用を考える時、卒業校や学業成績などよりも、個性や
適性を重視すべき時代になりつつあると考えられます。
大量採用をする大手企業の方が、こうした流れ進むのは難しいと
いえるのかもしれません。
《関連Webサイト》 (財)社会経済生産性本部