年金納付額を毎年通知 社保庁、来年度分から

年金納付額を毎年通知

   社保庁、来年度分から

      ~日経新聞 2004/08/06 5 面から

社会保険庁は厚生年金と国民年金の全加入者を対象に、過去1年間の年金
保険料の支払い実績を毎年通知する。2005年度分から始める。加入して
いる保険制度や納めた保険料の金額、未納期間の有無などを記した記録を
毎年送付する。未納者を含めた全加入者が年金の加入状況を把握しやすく
する。

●● 年金の納付状況は、将来の年金額を決定する、非常に重要な情報
   です。

   にもかかわらず、通常、年金の納付状況を一覧できる資料が手元に
   ある方はほとんどいらっしゃらないと思います。

   厚生年金の場合、会社が従業員の給与から天引きで保険料を集め
   ますが、その金額がそのままきちんと社会保険庁に納められている
   という保証はどこにもありません。

   悪意はなくとも、事務処理上のミスなどで、天引き額と納付額が
   異なるケースもないとはいえません。

   しかし、それでも一般国民は、年金保険料の納付状況をほとんど
   知ることもなく生活している状態にあります。

   国会議員の未納問題以降、社会保険庁には、保険料納付状況の
   問合せが殺到してるということですが、もはや、完全に国任せで
   放っておくことは、非常に危険だといわざるを得ません。

   事実、保険料をきちんと納めていても、年金の未払いや過払い
   といった支給ミスが相次いでいます。

   昨年、社会保険庁はこれまで、3万人超に250億円の未払いと
   6000人に24億円の過払いがあったことを認めました。

   この支給ミスが起こった原因は、コンピューターシステムの
   プログラムミスでした。

   単純なプログラムのミスで、国民の大切な年金の支給が、
   永年にわたって誤っていたのです。

   このような単純なミスによって、いとも簡単に年金の未払い
   などが生じてしまいます。
   永年にわたって未払いが発生していたということは、おそらく
   受給者の誰もが気づかなかったということだと想像できます。

   毎年の全加入者への通知は、当然コストがかかります。

   一人当たりの通知費用を200円程度と仮定しても、5000万人に
   配布すれば、1回あたり100億円の経費がかかります。

   しかし、未払いのミスが生じた年金システムの開発には、
   これまで総額で1.5兆円程度が投資されています。
   現在でも、毎年1000億円を超える金額が費やされています。

   毎年100億円の経費で、国民一人一人のチェック機能が働き、
   システムが是正されるとすれば、それほど高い金額ではないと
   いえるのかもしれません。

《関連Webサイト》 社会保険庁 年金見込額試算