年金事務費 保険料充当せず
社保庁、全額税金を要請へ
~日経新聞 2004/06/29 1 面から
厚生労働省・社会保険庁は、同庁の年金徴収や給付の事務費について、
年金保険料による負担を打ち切る方針だ。幹部の交際費や公用車代など
年に約1000億円を年金財政から回してきたが、2005年度予算編成では
全面的に税金で賄うよう財務省に求める。年金保険料の負担増への不満を
和らげる狙い。ただ、事務費削減の行方はなお不透明で、「むだ遣いの
財源を変えただけ」との批判も出そうだ。
●● 今年3月、坂口力厚生労働相は、年金保険料のうち、年金給付以外に
拠出した流用額は約5兆6000億円に上ることを発表しました。
厚生年金と国民年金の保険料収入は、制度発足から2002年までの
累計で、約370兆円。
そのうち、1.5%を超える金額が、年金の給付以外の目的に流用
されていました。
例えば、社会保険庁職員の海外出張費用などに保険料が流用されて
いました。
これは、2001~2003年度の3年間だけで、総額6000万円を超えて
います。
合計27件の海外出張に、1回あたり200万円を超す経費が充てられ、
全額が、保険料で賄われていたということです。
また、金額は少ないですが、社会保険庁職員が研修を受ける
社会保険大学校に設置されているゴルフ練習場のゴルフクラブや
ゴルフボールの代金・体育館、グラウンド、テニスコートの
維持費にも保険料が流用されていたということです。
この施設は一般には公開されていません。
関係者しか使えない施設です。
今回、社保庁は、このような事務費の財源を税金にすると
表明していますが、事務費の削減については特に触れていない
ようです。
年金保険料収入は、累計で370億円に達していますが、そのうちの
一部が債券や株式等に投資されています。
しかし、その結果は惨憺たるるもので、累計の損失額は6兆円を
超えています。
われわれ国民が拠出した保険料は、何もしないうちに、10兆円
以上目減りしている計算になります。
社会保険庁が民間企業であれば、解約が相次ぎ、事業の継続は
困難な状態に陥るでしょう。
しかし、社保庁は、唯一無二の存在です。
保険料未払い者を減らすために広告にお金をかけるよりは、
こうした内情を改革した方がよほど効果があると思うのは
私だけでしょうか。
《関連Webサイト》 社会保険庁