膨張介護保険(上)「疑惑の請求書」次々と
~日経新聞 2004/06/09 5 面から
発足から四年目に入った介護保険に、きしみが目立ってきた。サービス
給付費が予想以上に膨らみ、このままだと財政を圧迫される市町村は
保険料上げなどの防衛策を迫られる。厚生労働省は保険料の徴収対象を
「四十歳以上」から「二十歳以上」に広げる増収策を検討しているが、
給付を抑える具体策は手つかず。来年の制度改革に向け課題は山積している。
●● 制度制定からたったの4年。
介護保険制度が、早くも第二の年金のように資金破綻しはじめて
います。
介護保険制度は、2000年に導入された制度です。
当然ですが、年金制度とは異なり、経済の成長を前提として制定
されたものではありません。
介護保険による保険給付金の支給総額は、2004年2月一ヶ月でおよそ
4,400億円。
2002年度の統計では、1ヶ月あたりおよそ3,900億円。
2000年度の統計では、1ヶ月あたりおよそ3,000億円でした。
給付額が4年で、1.5倍に膨らんだ計算です。
介護保険が普及してきたとはいえ、給付額が4年間で1.5倍になると
いうのは、異常な数値であるといわざるを得ません。
介護サービスの特性上、利用者数が急に増加するというわけではない
はずです。
今朝の日経記事にもありますが、この保険給付額急増の裏には、
相当な数の不正請求が存在するようです。
介護保険の場合、介護サービスを提供した事業者が介護保険の運営者
である市町村に保険給付の請求を行います。
市町村では、現在、受けた請求の審査を国民健康保険団体連合会
(国保連)に委ねています。
しかし、国保連で行われる審査は、請求書類に記載されている項目
の点検にとどまり、サービスが実際に提供されたかどうかは確認して
いない状態です。
急速に増加している保険給付金に危惧し、国保連も不正請求に対する
対策を開始したようですが、発覚した不正請求のほとんどは内部告発
からという状態です。
このまま介護保険給付金の増加が続けば、20歳以上の保険料納付・
保険料引き上げなどの改正がされることは目に見えています。
介護保険は、これからの日本には必要な制度です。
各地方自治体の国保連は、不正請求などの情報を相談窓口を設けて
受け付けています。
現代は、国に任せておけば安泰という時代ではありません。
国民が自ら参加し、制度を守る必要があるのではないでしょうか。
《関連Webサイト》 国民健康保険中央会