年金福祉施設 2009年度メドすべて処分
売却促進へ清算法人
~日経新聞 2004/02/27 7 面から
自民、公明両党は26日、厚生年金会館など年金保険料で整備した265の年金
福祉施設をすべて2009年度をメドに廃止・売却する方針で大筋合意した。
2004年度中に整理合理化計画を作り、2005年度に清算業務を行う独立行政
法人を新設し、民間企業や地方自治体への売却を進める。年金保険料の使途
を給付に絞り、国民の年金不信を和らげるのが狙いだ。
●● 売却する施設の総数は265。
そのうち、民間の会計基準で黒字となっている施設は、たった9施設
のみ。
97%の施設が赤字という、超放漫経営で、国民の年金保険料を
目減りさせる一因となっていました。
結果的に、全国民の大切な資産が、赤字経営でも責任を問われない
天下りした官僚経営者を潤わせることになっていたのです。
現在、年金保険料の積立金はおよそ150兆円。
日本の税収の約4年分に相当する巨額です。
郵便貯金の250兆円、簡易保険の110兆円と並んで、政府が税収以外で
投融資などに自由に動かすことができる巨大な資金といえます。
この年金保険料積立金のうち、1.5兆円が、年金福祉施設などの
整備に投入されました。
投資された施設の現在の資産価値はおよそ1兆円。
大切な資金を2/3にまで目減りさせるという結果に終わっています。
また、積立金150兆円のうち、40兆円あまりを厚労省所管の特殊法人・
年金資金運用基金が民間金融機関を通じて国内外の株式や債券で運用
しています。
同基金は、2001年に発足しましたが、3年間の運用成果は、1兆円の
赤字という結果に終わっています。
同基金の前身である旧年金福祉事業団の運用赤字を加えると累積赤字
は約4兆円。
旧年金福祉事業団の発足は1986年のことなので、通算して20年弱で、
40兆円の資金を10%も減らしている計算です。
その間、資金の運用を委託している民間金融企業には、毎年運用資産
の4%程度の手数料を支払い続けています。
これまでの実績を見る限り、政府が行った投融資によって、年金資金
が増えることはありません。
一部の関係者が潤うだけです。
なにもしないで放って置いてもらったほうが、将来残せる年金資金が
最大化すると考えられます。
資金の運用に関する責任者を明確にしない限り、このような状況が
改善されることはないでしょう。
《関連Webサイト》 年金資金運用基金