役員退職金 廃止相次ぐ
年間報酬に一本化
~日経新聞 2004/02/20 1 面から
HOYA、ダイキン工業など上場企業が相次いで役員退職慰労金制度を廃止
している。在任期間が長ければ自動的に受取額が増える従来の仕組みをやめ、
毎年支払う役員報酬に一本化。会社の業績や役員の貢献度との連関性を
強める。従業員の賃金・退職金制度では成果主義が増えているのに対し、
退職慰労金制度は年功的な要素が強かった。役員の経営責任を明確にし
企業統治を強化する狙いもある。
●● 賃金体系の年功型から成果報酬型への移行は、従業員だけでなく、
役員へも広がりつつあります。
これは当然の流れといえます。
しかし、自分たちが数年すればもらえる役員退職金の廃止を、自ら
放棄するためには、自制心の強いリーダーの存在が不可欠といえそう
です。
昨日お伝えした、従業員のベア放棄もそうですが、民間企業では、
業績に連動した報酬制度への移行が進んでいます。
業績・成果連動型の報酬の場合、基本的に景気が低迷している現在
は、収入の増加にはなかなか結びつかないといえます。
それでも成果報酬型へ移行する民間企業の動きは、まさに俵百俵の
精神であるといえるでしょう。
しかし、業績や成果というものに関係が薄い公務員には、まだまだ
民間では理解しにくい制度が残っているようです。
今年はじめ、中央省庁に20年以上勤続した公務員の90%が、退職日付
で昇給され、退職金の上乗せ支給を受けていることが報道されました。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20040109mh11.htm
上積み額の総額は、一昨年度だけで40億円。
支給された公務員ひとりあたり20~30万円が上積みされたということ
です。
当然、この上積み額の原資は税金です。
退職金を増やすためだけにあるようなこの制度のため、毎年数十億円
という巨額が費やされているのです。
この制度は現在の人事院規則で定められたものであり、勤務成績が
特に良好と判断されたものが退職する際に昇給されるという制度で
あるということですが、退職者の90%が「特に良好」という判断が
なされるのであれば、これは、ほとんど全員に適用される制度で
あると考えても間違いではないでしょう。
国民の税金を使って、退職者に現金を贈与しているようなものです。
しかも、一部の省庁では、100%の退職者に適用されています。
特に、政府機関の会計を検査する立場である会計監査院の退職者は、
全員がこの制度の恩恵を受けています。
この制度は既に50年間続けられてきたようですが、一般に報道される
のは今回が初めてのことになるようです。
これまでに、累計で数千億円という税金が退職する公務員に支給されて
いたのです。
民間よりもよっぽど財政事情が苦しい政府が、赤字を垂れ流しながら
税金の無駄遣いを続けています。
自制心の強いリーダーは存在しないようです。
《関連Webサイト》 HOYA