とかく官のやることは―事業仕分けで無駄をなくせ


とかく官のやることは―事業仕分けで無駄をなくせ

   

      ~日経新聞 2008/07/28 5 面から



京都駅から近鉄の急行で三十分の新祝園(しんほうその)で路線バスに
乗り継ぎ十分足らず。「けいはんな学研都市」の一角に空港ターミナル
ビルに似た長大な建物が現れる。厚生労働省傘下の独立行政法人、雇用・
能力開発機構が運営する「私のしごと館」だ。
 訪れたのは二カ月ほど前の平日だが、広い駐車場に観光バスが数台。
中に入ると修学旅行で立ち寄った中学生の制服姿がちらほら。手持ち
ぶさたのスタッフが目立ち、売りものの職業体験コーナーでは講師役に
招かれたプロたちが、おしゃべりに興じていた。


●● 公費無駄遣いの象徴として有名になった「私のしごと館」。


   現在の日本の、民主主義ならぬ、官主主義の象徴ともいえそう
   です。


   私のしごと館は、2003年に開設されました。

   建設費は580億円


   この金額は、第2東京タワー(東京スカイツリー)の総事業費に
   相当する金額です。
   
http://www.tokyo-skytree.jp/

   東京スカイツリーは、完成時の高さが610メートルとなり、現在の
   東京タワー333メートルのほぼ2倍、世界一の高さの建築物となる
   予定です。


   同じ金額を、官が使うと、赤字の巨大施設になり、民が使うと、
   世界一のタワーになるようです。


   さらに、一昨年、東京に「キッザニア東京」という同類の民間
   施設が開設された事で、よりこの「私のしごと館」に非難が
   集中する事になりました。


   キッザニア東京は、ご存じのように、現在、東京でも有数の
   人気スポットとなっており、夏休み中は、すでにすべて予約で
   埋まっているような状況です。
   
http://www.kidzania.jp/


   キッザニア東京ができるまで、このような施設が民間でできない
   という可能性があり、この場合、赤字事業であっても、官で運営
   するという必要があります。

   しかし、民間で営利事業として運営できる事。
   さらに、同地区にもキッザニアが進出する事が決まり、地域的にも
   民間での運営が可能であることが証明され、「私のしごと館」の
   存在意義が問われる事になりました。


   ただ、逆に言えば、キッザニア東京が登場しなければ、この
   私のしごと館は、毎年20億円近い赤字を続けながら、そのまま
   運営されていた可能性が高いと言えます。


   官主主義の日本では、このような無駄遣いは、まだまだ存在する
   と思います。

   また、官主主義である限り、それは変わらないでしょう。


   官のリストラはこれからの日本にとって、最重要事項であること
   は間違いないでしょう。


   それのためには、民間の指摘が必要不可欠なようです。


《関連Webサイト》私のしごと館
http://www.shigotokan.ehdo.go.jp/