ふるさと納税賛否―宮崎知事・神奈川知事
~日経新聞 2007/06/28 5 面から
総務省は27日、「ふるさと納税研究会」(座長・島田晴雄千葉商科大学長)
の会合を開き、東国原英夫宮崎県知事と松沢成文神奈川県知事が意見交換
した。東国原知事が「地域活性化のツールとして期待したい」と主張する
一方で、松沢知事は「地方間の格差は地方交付税交付金で是正すべきだ」と
強調。地方と都市の対立が改めて浮き彫りになった。
会合で東国原知事は「地方は人材や食料の供給を通じ都市部に貢献している」
と指摘。住民税の一割を居住地以外に納めるなどのふるさと納税導入に
期待感を示した。
●● この問題は、地方対都市の対決のようなイメージで報道されています
が、本当に、そういった問題なのでしょうか。
日本国民が持つ判官贔屓の感情と、故郷への想いが重なって、感情的
な議論が多くなっていますが、この問題は、地方対都市の構図から
見ると、判断を誤るのではないかと思います。
税制のしくみから冷静に考えれば、松沢神奈川県知事の弁が的確と
いえるでしょう。
新たに徴税コストがかかったり、自治体の予算がたてにくく
なるなどの問題点を指摘。「ふるさとに貢献する仕組みが
ほしいとの気持ちは理解できる」としたうえで、交付税改革や
自治体への寄付金の所得控除拡充、所得税からの税額控除導入
を検討すべきだと強調した。
受益者負担の原則に基づき導入された住民税で、納税者が納付地を
選べるようにするということはかなりおかしな話といえます。
また、このしくみを導入することにより、新たに発生するコストは
少なくありません。
全国民のふるさとを決定し、個別にふるさとへの納付金額を決め、
金銭の移動をする。
小さな政府を目指している今、これほどよけいな人員とコストを
割いてまで、このようなおかしな税制を新たに導入する必要が
あるのでしょうか。
しかも、この問題が、地方対都市の対決として取り上げられ、
両知事がわざわざ会って意見交換するということまで行われて
います。
松沢知事の指摘通り、地方交付税改革で是正すべき問題が、なぜ
このような議論にすり替えられてしまったのでしょうか。
また、根本的な格差是正対策ではなく、このようなイメージばかり
の施策を堂々と発表する官僚とは、いかがなものでしょうか。
突然降って湧いたようなこのふるさと納税の話に、知事が登場して
対決する。
どうも、知事までもが官僚におどらされているように見えてしかた
ありません。
日本は依然として、民主主義ではなく官僚主義ですね。
都道府県や知事も例外ではないようです。
《関連Webサイト》 総務省
http://www.soumu.go.jp/