家計331兆円失う、超低金利下での利子所得
日銀総裁が試算公表
~日経新聞 2007/03/23 7 面から
日銀の福井俊彦総裁は22日の参院財政金融委員会で、バブル崩壊後の超低金利
により家計が失った金利収入の累計が331兆円に上るとの試算を明らかにした。
福井総裁は「低金利政策のマイナス面の一つだが、借入金利低下の影響を
含めた経済全般への効果を判断する必要がある」と述べた。
試算は最新の国民所得統計をもとに日銀がまとめた。バブル崩壊直後に
あたる1991年の家計の受取利子額は年間38兆9000億円。家計が同じ額を
2005年まで継続してもらっていた場合と、実際に受け取った利子額との
差をはじいた。
●● 超低金利を嫌い、銀行預金から動いた個人資産が、株価や地価を
ひき挙げる要因になったことは間違いないようです。
300兆円を超える金利収入を失いながら、日本の家計金融資産は
過去最高額を更新しています。
本日、日銀が発表した統計によれば、2006年末の家計が保有する
金融資産の残高は1540兆8478億円と過去最高を記録しました。
前年末よりも1%増えています。
やはり、現預金の割合が下がった一方、国債や投資信託が過去
最高になるなど資金シフトが進んでいることが明らかになって
います。
金融資産のうち、株式や債券で運用する投資信託は前年末に
比べ29.5%増の66兆1641億円。
国債は同20.3%増の32兆3468億円。
いずれも大幅増になっていることが分かります。
一方で、現金預金は同1.6%減の779兆円。
家計金融資産の増加は、株式や国債などに投資された資金の増加
によるものが大きいといえます。
ただ、依然、日本の家計金融資産に占める割合が最も大きいのは
現預金。
全金融資産のうち、50.5%を現預金が占めています。
ちなみに、この数値、米国の場合は13.2%。
超低金利とはいえ、日本での現預金の人気は高いままだといえ
そうです。
しかし、2000年をピークに、現預金の比率が毎年下がってきて
いることも見逃せない事実です。
779兆円という巨額の現預金が、いわゆるリスクマネーへと動き
つつあります。
また、昨日来マスコミで度々放送されていますが、公示地価の
全国平均が16年ぶりに上昇に転じました。
当時の竹中大臣が「もはやバブル後ではない」と宣言したのは、
2005年1月、すでに2年も前のことです。
実態の経済指標も、間違いなく転換しつつあるようです。
《関連Webサイト》日本銀行
http://www.boj.or.jp/