NHK受信料不払いに罰則検討 値下げも視野
~日経新聞 2006/04/12 1 面から
総務省は受信料収入が急減したNHKの経営再建に向け、受信料支払いを
法律で義務付け、不払いに罰則を科す案を検討する。不払いが全世帯の3割
に達し、払っている視聴者との不平等を放置するのは適切ではないとの判断
だ。強制的な受信料徴収には放送法の改正が必要。同省はNHKが保有する
チャンネル数の削減などによる経費圧縮、受信料値下げも打ち出すことで
理解を得たい考えだが、与野党から異論も予想され、国民的な論議を巻き
起こしそうだ。
●● 本日の日経新聞社会面には、下記のような記事が掲載されています。
■NHKプロデューサー、カラ出張で1700万円着服
NHKは11日、報道局スポーツ報道センターの大下哲史チーフ
プロデューサー(43)が5年余りの間に242件のカラ出張を繰り
返し、計1760万円を着服していたと発表した。近く警視庁に届け
出る方針。NHKは同日付で懲戒免職処分にしたほか、当時の
上司ら10人を出勤停止7日などの懲戒処分、原田豊彦放送総局長
と石村英二郎副総局長を減給にした。
NHK会長のコメントにもありますが、この事件の発覚は、今の
NHKにとっては、「痛恨の極み」でしょう。
ただ、国民から見ると、これまで発覚した不祥事が、まだまだ氷山の
一角であるような印象をうけざるをえません。
受信料の不払い運動に発展してしまった現状は、いたしかたないと
いえる要素はあります。
そもそもNHK受信料支払の根拠となる法律はどこにあるのでしょう
か。
現状の法律の中では、放送法の第32条(受信契約及び受信料)に
受信料に関する定めがあります。
その内容は下記のようなもの。
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、
協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
また、同条の2項において、下記の定めがあります。
前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を
免除してはならない。
すなわち、NHKの放送が受信できるテレビを設置した者は、
NHKを見る見ないにかかわらず、放送の受信についての契約を
NHKと交わす必要があります。
ただ、この規定は契約の締結についてのみの内容です。
この項では、受信料の支払については、なにも触れられていないの
です。
同条の2項において、契約を締結した者から徴収する受信料を
免除してはならないとの規定がありますが、受信料を支払わなかった
場合の罰則の規定などは一切ありません。
法律の内容を解釈する限り、受信契約をしても、受信料を支払わなけ
ればならない義務は規定されておりません。
さらに言えば、受信契約を締結しないことによる罰則規定もなく、
受信契約自体を結ばなくても、現状は特に不利益を被ることはないと
いえるのです。
NHKは、この32条の「受信契約の締結義務」を、「受信料の支払
義務」に変更し、不払い世帯に罰則を規定する方向で法案の改正を
進めています。
一方で、経費削減を進めれば、衛星カラー契約の月額2,340円を
1,000円程度に値下げできるとの意見も出ています。
今回、新たな不祥事が発覚し、国民の信頼回復は、簡単ではない
でしょう。
まずは、協会内の徹底調査と経費の削減が先決といえるのではない
でしょうか。
《関連Webサイト》 NHKインターネット営業センター
http://www.nhk.or.jp/eigyo/