株主総会 ネット投票 250社に拡大

株主総会 ネット投票 250社に拡大

   個人外国人取り込み

      ~日経新聞 2004/05/19 1 面から

配当額や取締役選任など株主総会の議案にインターネットで投票できる仕組み
が急速に広がる。今年5、6月の総会シーズンにはネット投票が可能な企業が
250社と前年より5割増え、東京証券取引所に上場している企業の1割を超す。
東証は今秋にも、外国人株主が参加しやすい投票システムを米社などと構築
する。株式持ち合い解消の進行で個人や外国人の株式保有比率が高まっている
ことが背景にあり、企業はネットの活用で総会への参加を促す。

●● インターネットは、投票という行為に最も適したインフラといえるの
   かもしれません。

   インターネット投票を利用すると、投票者の移動が最短で済むだけで
   なく、票の集計作業が投票と同時に自動的に実施されます。
   投票ミス・集計ミスともにほとんど発生しないと考えてもいいでしょう。

   また、ネットの活用により、距離や位置は全く無関係になり、どこ
   にいても投票できますし、締め切り時間ぎりぎりの投票も有効になり
   ます。

   そして、投票終了と同時に結果も判明するため、投票結果の即時公開も
   可能といえます。
   投票途中にリアルタイムで投票状況を開示することも容易です。

   ただ、ネット投票に全く問題が無いわけではありません。
   インターネットを介すことにより、投票者の利用しているプロバイダ
   情報や、接続しているパソコンの識別番号などが投票場に残る可能性
   があり、完全に無記名の投票を実施することは困難です。

   また、投票者が本人であるかどうかの判断は難しく、投票番号を
   知っている第三者が投票したとしても、それを見分けることはほと
   んど不可能です。

   利用者のプライバシーを守りつつ、利用者が本人かどうかを特定する。

   相反する二つの特性を同時に実現することができれば、インターネット
   投票は公的な選挙にでも利用できる可能性を持っています。

   現在、このネット投票システムは、米国の一企業がほぼ独占して提供
   している状態です。

   その会社は、オートマチック データ プロセシング(ADP)という
   会社で、30年以上増収増益を続けている超優良企業でもあります。

   米国ではすでに、上場企業の大半がネットによる株主投票を実施
   しており、株主の大半が、ネットでの投票を選択し、実際に投票して
   います。

   投票を実施する株主は、ADP社が運営するProxyVote.comページで、
   コントロール番号と識別番号を入力することにより、簡単に株主
   投票に参加できます。

   ただ、このProxyVote.comのサイトには、投票に参加した個人の
   プライベート情報が残る可能性が高いといえます。

   目に見えないインターネット上のシステムは、便利さの反面で、
   大きな危険性も持っているといえるでしょう。

《関連Webサイト》 Automatic Data Processing