不正引き出し、ネット取引も被害補償
金融機関が自主ルール
~日経新聞 2008/02/07 1 面から
インターネットを使って振り込みなどができる「インターネットバン
キング」で預金を不正に引き出される被害が増えていることを受け、
大手銀行などが被害額を原則として補償することになった。ネット
取引の被害は預金者保護法の対象外で、現在は補償されない場合が
多い。預金者に過失があれば補償は一部にとどまるが、金融機関の
責任は大幅に重くなる。
●● ネットの普及に、やっと法整備が追いついてきたといえます。
先日、総務省は、受信者の同意を得ない広告や宣伝など迷惑
メールの送信を全面的に禁止する方針を固めました。
これまで、「未承諾広告※」と表示し、送信者の氏名や住所を
明記すれば、受信者の同意を得ない一方的な広告でも配信する
ことが可能でしたが、今回の法改正により、一方的な広告メール
の配信は全面的に禁止となります。
ただ、現状、違法な配信業者の特定が難しく、違法業者が多い
割には摘発例がほとんど無い状態です。
厳罰化により、より摘発に力を入れることが可能になると予想
されますので、少しずつですが快適なネット環境に近づいていく
と考えられます。
今回、全国銀行協会が定めた自主ルールも、ネット環境の改善に
大きく寄与するものといえます。
現在、ネットバンキングが便利だとは知りつつも、その危険性から
ネットでの利用を控えている人が、実はかなりいらっしゃいます。
マスコミなどで報道される詐欺事件に過剰に反応してしまった
結果といえますが、実際に詐欺にあったときに、補償がないという
ことも大きな原因といえます。
新しい自主ルールでは、パソコンのウイルスソフトを更新するなど
適正な自衛さえしていれば、詐欺にあった場合の被害は、基本的に
全額補償されるようになります。
現在ネット取引詐欺の大半を占めるフィッシング詐欺でもスパイ
ウェアによる情報盗難でも、自衛していた上で引っかかってしまった
場合には補償を受けることが可能になります。
おそらく、ネットバンキングの普及に大きく貢献すると考えられ
ます。
ネットバンキングの利用者が増えることで、金融機関の人件費や
店舗などにかかるコストが低減され、利用料の値下げや金利のアップ
などに結びつく可能性が高くなるでしょう。
ただ、やはり、詐欺などへの対策のため、ある程度、ネット
バンキングの簡便性は犠牲にすることになります。
昨今、セキュリティ対策として、金融機関で主流になってきている
のは、ワンタイムパスワードによる管理です。
これは、利用者全員に自動的に一時的なパスワードを発行する装置
を配布して、その装置が一時的に発行するパスワードを入力しないと
操作ができないという仕組みです。
この方法により、IDやパスワードなどが盗まれても、ワンタイム
パスワードが判らない限り、何もすることができません。
三井住友銀行やジャパンネット銀行などは既にこの仕組みを導入して
います。
金融機関にとっても、この仕組みは大きな自衛手段といえるでしょう。
こうした規制により、ネットの安全性が増すことは、世界全体の
効率化やコストダウンにつながると思います。
今後ますますの進展を期待したいものです。
《関連Webサイト》全国銀行協会
http://www.zenginkyo.or.jp/