業績回復でもベア困難 自動車・電機労組が要求提出
成果主義が加速
~日経新聞 2004/02/19 3 面から
トヨタ自動車や日立製作所など自動車・電機大手の労働組合は十八日、今春
の労使交渉での要求書を経営側に提出した。北米事業が好調な自動車業界で
はトヨタなどが過去最高益を更新、電機もデジタル家電のヒットで増益基調
だが、ベースアップ(ベア)を交渉する企業は少数派。業績回復が社員の
賃金上昇に直結せず、個人の仕事の成果で決まる流れが加速している。
●● 先日発表されたサラ川・100句にも次のような句がありました。
組合が 会社の無理を 説明し
会社の経営状態を過剰に考慮し、要求時点でベアを見送る労働組合
の存在意義はどこにあるのでしょうか。
組合員から徴収している組合費は、いったいどこへ消えているの
でしょうか。
会社が危機的な状況であるのであれば、まだ理解することもでき
ますが。
トヨタ自動車の場合、2004年3月期通期の連結純利益が国内企業で
初めて一兆円を超えるようです。
純利益は、法人税などを差し引いた後の金額です。
トヨタの場合、諸税を差し引く前の利益額は、1.7兆円程度と
推定できます。
現在、トヨタ自動車グループで働く従業員数は約26万人。
利益を従業員数で割ると、一人当たりおよそ650万円という計算に
なります。
トヨタ自動車に1兆円を超える利益をもたらした源泉は、なにより
も従業員の労働力です。
トヨタ自動車グループの従業員は、平均して、給与よりも650万円
程度多い労働力を会社に提供したと考えられます。
単純に月給に換算すれば、55万円弱という数字です。
また、トヨタ自動車グループ従業員の平均年収は、決算資料から
推計すると、600万円~700万円程度です。
そのため、トヨタグループの社員は、ほぼ年収の倍額程度の労働力
を会社に提供していたと考えても間違いではないでしょう。
逆に言えば、提供した労働力の半分程度の給与しか支払われていない
ということです。
もし、会社が危機的な状況にあるのであれば話は別ですが、トヨタ銀行
とも言われ、7兆円を超える剰余金を抱えるトヨタが、目先の資金に
窮余しているとも考えられません。
6,000億円を超える税金を支払ってまで、内部留保を増やす理由は
どこにあるのでしょうか。
6,000億円という金額は、従業員一人当たり230万円に相当します。
納税が悪いことだとは決して言いませんが、その分を従業員に還元
したほうが、景気にも業績にもプラスになるとは考えられないの
でしょうか。
不景気になって潤っているのは、もしかしたら企業のほうかもしれ
ません。
《関連Webサイト》 トヨタ自動車