法人所得の2割非課税に
欠損金繰越控除7兆7000億円
~日経新聞 2004/02/03 5 面から
企業が欠損金(赤字)を翌期以降に繰り越して課税所得を減らせる「繰越
控除制度」により、2002年度の法人所得の約2割が非課税になったもようだ。
国税庁によると、繰越控除額は7兆7000億円で、相殺しきれずに繰り越した
欠損金も70兆円以上ある。今年度以降も税負担を大幅に軽減できる見通し。
回復基調にある企業活動の支援材料になりそうだ。
●● 2002年度、法人所得の合計金額は40兆円あまり。
課税された法人税の合計額は9兆6,000億円と、1983年以降、実に20年
ぶりに10兆円を割り込みました。
法人税額がピークを迎えた1990年には18兆円を超える金額にまで膨らん
でいました。
その後、10年強下落を続け、遂にピーク時の半分程度にまで落ち込んだ
計算になります。
また、繰越欠損金の合計残額が70兆円超と、法人所得額の倍近い数字
となっています。
日本の法人300万社全体を合計した場合、法人税は0円となり、この
ままいけば、将来2年間にわたって、法人税は課されないことになり
ます。
景気回復傾向にあるとはいえ、いかに日本の企業が利益を上げてい
ないかがわかります。
日本の普通法人約300社のうち、利益を上げている法人は80万社弱。
率にして、30%に満たない数字です。
200万を超える企業が赤字決算を迎えているのです。
その普通法人のうち、医療法人だけは他の法人とは異なります。
日本の医療法人36,000のうち、24,000が利益を上げ、法人税を納めて
います。
法人全体とは逆に、70%近い医療法人が黒字決算を計上しています。
利益を上げている法人80万社で平均すると、1社あたりの法人税納税
額は1,200万円になります。
利益計上法人の法人所得金額の平均は4,000万円あまりですので、平均
すると、30%程度の税率が課されていることになります。
10兆円の法人税額を、全法人300万社で割ると、1社当たり333万円に
なります。
この国の税制は、個人にしろ法人にしろ、上位所得者から税金の大半
を徴収するしくみになっています。
間違いなく海外の上位所得者が移住したくなるような国ではないよう
です。
《関連Webサイト》 国税庁ホームページ