ソニー MD録音30倍の40時間に
年内に製品発売
~日経新聞 2004/01/07 面から
ソニーは1枚のディスクに現在の30倍の約40時間録音できるMD(ミニ
ディスク)の新技術を開発した。年内に機器とディスクを発売すると
ともに、松下電器産業など他メーカーにも新規格として採用を働きかける。
音楽のインターネット配信の普及に伴い、米アップルコンピュータが
パソコンから取り込んだ楽曲を1万曲分(600―700時間程度)録音できる
ハードディスク(HD)内蔵型の携帯オーディオ機器を発売、米国や日本で
人気を集めている。ソニーはMDの長時間化で対抗する。
●● MD規格を開発したのはソニーです。
この功績が称えられ、昨日、ソニーの大賀名誉会長が、米家電協会の
「家電の殿堂」に選出されました。
この「家電の殿堂」には、過去にソニー創業者である井深氏と盛田氏
も選ばれています。 ~日経11面より
皆様もご存知のとおり、MDはカセットテープに代わるオーディオ
録音・再生機器として、発売以来広く普及してきました。
2000年にはMD長時間ステレオモード(MDLP)が開発され、
音声を圧縮することによって、1枚のMDに最長320分の録音が可能
となりました。
しかし、ここ数年、CDに直接録音するCDレコーダーがパソコンに
標準搭載されるようになると、MDの利用価値は急速に低下しつつ
あります。
CDレコーダーの場合、MP3という圧縮技術を利用すれば、CD-R
1枚に10時間~100時間程度の録音が可能です。
また、録音速度も、MDの最大5倍速に対して、CD-Rは現在最大
52倍速まで可能です。
74分のCDをコピーする場合、MDの最速15分に対して、CD-R
は最速1.5分。
あっという間にコピーできてしまいます。
MD CD-R
通常録音時間 80分 80分
最長録音時間 320分 600分以上
(新規格2400分)
高速録音 最高5倍速 最高52倍速
メディア価格 1枚100円程度 1枚100円程度
メディアサイズ ◎ ○
メディア耐久性 ◎ ○
メディア互換性 ◎ △
録音機器操作性 ◎ △
再生機器普及率 ○ ◎
現状、使い勝手ではMD・スペックではCD-Rといった状況に
なっているといえます。
また、ソニーがMDによる音楽録音にこだわる理由には、私的録音録画
に関する補償金制度の問題があると考えられます。
これは、MDやオーディオ用CD-Rなどデジタル方式で録音できる
機器やメディアを使ってダビングをする場合には、作詞家、作曲家、
などの著作権者に対して補償金を支払うという制度です。
MDやCD-Rの場合、機器の卸価格の2%、記録媒体の3%が私的
録音補償金として(社)私的録音補償金管理協会(SARAH)に支払われて
います。
ただ、CD-Rの場合、パソコンデータ用CD-Rはこの対象とは
ならず、補償金はかかりません。
しかし、音楽録音は可能です。
メディアの価格もオーディオ用CD-Rに比べて安価なため、こちら
のメディアを利用する人が多いと推測されます。
また、近年、ハードディスクやメモリーカードなどに録音する機器が
普及していますが、これらはすべて保証金制度の対象外です。
ソニーは、こうした著作権保護の面からも、MD普及に力を入れて
いる可能性が高いといえそうです。
《関連Webサイト》 社団法人 私的録音補償金管理協会
http://www.sarah.or.jp/