PS3で仮想世界SCE展開へ――会話楽しめ映画や広告も


PS3で仮想世界SCE展開へ――会話楽しめ映画や広告も

   

      ~日経新聞夕刊 2007/03/08 3 面から



ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は七日、コンピューター
グラフィックスで本物そっくりに作られた仮想世界で会話などを楽しめる
サービスを始めると発表した。ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」
に対応する。利用者は自身のキャラクターや部屋をデザインし、インター
ネット経由で他の利用者と音声会話などができる。仮想世界内には企業広告を
掲載し、広告収入などを見込む。
新サービス「ホーム」はPS3を使い無料で利用できる。四月から試験版を
開始、正式版は今秋に始める。サービス提供地域は明らかにしていない。
米サンフランシスコで開催中のゲーム開発者向け会議で発表した。


●● セカンドライフが大幅に先行し、競合が参入しにくいと考えられていた
   インターネット3次元仮想世界の市場に、ソニーが参入するようです。


   ソニーが提供する3次元仮想世界「Home」は、PS3向けの専用コンテンツ
   として提供されます。

   PS3の持つ、圧倒的なグラフィック機能を使用することにより、かなり
   精細な描写が可能なようです。

   画面イメージはこちらで確認できますが、セカンドライフを数段上回る
   描写といえそうです。

   
http://eg.nttpub.co.jp/news/20070308_13.html


   主にパソコン向けのサービスであるセカンドライフの場合、どうしても
   パソコンのグラフィック性能で描写可能な範囲内でのシステム構築と
   なります。

   現状、一般的なパソコンは、2次元描写用で、3次元描写用のシステム
   とはなっていません。

   セカンドライフでも、ある程度3次元描写に対応したグラフィック性能
   を持ったパソコンでないと、快適な利用は難しいといえます。


   一方、PS3は、完全に3次元描写向けのシステムとなっています。

   3次元描写の処理能力で見ると、一般的なパソコンと比較して、PS3は
   数十から数百倍の処理能力を持っています。

   一般的なパソコンの処理能力では描写することが難しい、反射や陰影
   の描写をPS3はいとも簡単に処理できるくらいの差があります。


   おそらく、仮想世界を描写するという面において、現状PS3に勝る
   プラットホームはないでしょう。


   しかし、ソニーが提供する「Home」には大きな弱点があります。

   それは、ソニーという他の営利事業を展開する企業が運営している
   という点です。


   セカンドライフの場合、セカンドライフを運営する企業は、特に他の
   営利事業を展開しているわけではありません。

   そのため、広告配信に、トヨタや日産など、一つの業種にも多数の
   企業が参入することが容易です。

   しかし、Homeの場合ソニーが運営しているわけですから、東芝が広告
   を出したり、アップルが音楽配信を手がけたりすることができるの
   でしょうか。

   ソニーはすでにこのHomeのなかで、自社製品やサービスの広告を
   行うことを表明しています。

   ソニーの場合、開かれた仮想世界となることは難しそうです。



   また、可能性としてあげられるのは、セカンドライフがPS3に対応する
   ということです。

   現状セカンドライフは、Windows・Mac・Linuxに対応していますので、
   不可能ではないはずです。

   任天堂のWiiに対応することさえできるかもしれません。


   しずれにしても、セカンドライフとHomeの公開を控えた今年は、
   日本にとって仮想世界元年となりそうです。

   どのようなことになるのでしょうか。



《関連Webサイト》Sony
Computer Entertainment Inc.
http://www.scei.co.jp/