住宅ローン、繰り上げ返済が急増
~日経新聞 2006/10/06 4 面から
日銀がゼロ金利策を解除して以降、住宅ローンの返済方法を見直したり、
有利な条件に借り換える動きが広がっている。金利上昇リスクを回避
しようと、三井住友銀行では7月の繰り上げ返済の利用件数が3月に比べ
倍増。借入期間中に金利が変わる変動型や金利を短期間固定するローン
から、長期間固定するタイプのローンへの借り換えや新規借り入れも
伸びている。
●● ローンの繰り上げ返済が、ローン返済総額の軽減にどのくらい効果
があるかは、すでに多くの方がご存じのことかと思います。
例えば、借入金額3000万円で、金利3%、35年ローンを組んだ場合
で考えてみます。
ローン開始後3年目に100万円を繰り上げ返済した場合、ローン返済
期間を2年間も縮めることが可能です。
また、ローン返済総額は、およそ160万円の低減となります。
100万円の返済で、利息を160万円減らすことができますので、これ
ほど効果的なお金の活用法はないといえるほどです。
三井住友銀行では、インターネット経由の繰り上げ返済手数料を
無料にしたり、サイト上で繰り上げ返済のシュミレーションが
できる機能を掲載したり、顧客のニーズに積極的に答えようと
いう姿勢が見られます。
http://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/ichibu_sim.html
メガバンクが、このように繰り上げ返済に対して取り組みを強化
している背景には、他の銀行が、この繰り上げ返済に関する各種
サービスを展開し、貸し出し額を伸ばしていることがあるためと
考えられます。
例えば、新生銀行の場合、繰り上げ返済手数料は一切無料となって
います。
サイト上には、他のメガバンクと繰り上げ返済手数料を比較した
表を掲載し、自行のメリットを訴えています。
http://www.shinseibank.com/powerflex/housing/powersmart02.html
また、さらに、自動繰り上げ返済という機能を提供し、毎月余剰と
なった資金から、少額でも自動的に手数料無料で繰り上げ返済が
できるようにしています。
メガバンクのサービスとは一線を画す内容といえます。
また、東京スター銀行の場合、繰り上げ返済の必要さえなくなる
ようなしくみの住宅ローンを展開しています。
預金連動型住宅ローンというものです。
このローンは、普通預金の総額と同額のローン部分には利息が
かからないというもの。
http://www.tokyostarbank.co.jp/starone/products/homeloan/about03.php
そのため、普通預金の残高さえあれば、常時その残高分が繰り上げ
返済と同じ効果を発揮します。
繰り上げ返済との大きな違いは、手元資金を減らすことがない点
です。
繰り上げ返済の場合、どうしても手元にある資金を減らしてしまい
ますので、急な出費が発生した場合の不安は残ります。
しかし、こちらの預金連動型住宅ローンであれば、普通預金から
いつでも資金が引き出せるのです。
このようなサービスによって、新生銀行や東京スター銀行は、
業績を大幅に伸ばしてきています。
http://profile.yahoo.co.jp/biz/consolidate/8303.html
http://profile.yahoo.co.jp/biz/consolidate/8384.html
腰の重いメガバンクが、自行にとってはあまりメリットのない
繰り上げ返済に積極的に望んでいる背景には、このような他行の
躍進があるといえるでしょう。
ただ、自動繰り上げ返済や預金連動型住宅ローンのしくみまで
真似できる銀行は、他にはないようです。
《関連Webサイト》 日本銀行
http://www.boj.or.jp/