人口減少今年から? 少子化加速、想定超す


人口減少今年から?

   少子化加速、想定超す

      ~日経新聞 2005/08/24 5 面から



厚生労働省が23日公表した人口動態統計によると、今年上期(1―6月)は
人口が約3万1000人減った。この傾向が続けば今年は暦年で初めて人口が
減少する。想定を上回る少子化を食い止める対策が急務なことが改めて
印象づけられた。高齢者向けに比べて極端に少ない子ども向け支援に
予算を重点配分するといった人口減社会に見合う対応も迫られそうだ。


●● またしても、厚生労働省の統計が予想と大きくずれています。


   統計データを見る限り、日本の人口が、今年から減少に転じる
   と考えて間違いなさそうです。

   昨年の人口1億2,700万人が、日本の最大の人口数であったと
   いうことになります。


   日本の人口について統計が残っている1920年以降、人口が減少した
   のは、1944年から1945年の1年間のみ。

   7,443万人から7,2147万人へと、200万人強の人口が減少しました。
   これは、戦争によってなくなられた方の人数に相当します。


   この年以外では、1920年以降85年間、日本は人口減少という事態を
   体験していません。

   1920年に5,596万人だった人口は、85年間で2倍以上に増えました。


   極めて単純に考えた場合、人口が増加すれば、GDPは増加します。
   人口が増加している国では、黙っていてもGDPは増加すると考える
   ことができます。

   しかし、人口が減少している国家は、逆にGDPは基本的に減少して
   いく方向にあるといえます。


   これは、成長していく国家から、縮小していく国家への転換を
   意味します。

   人口の増加が見込めない以上、国家の全ての面において、縮小を
   基本路線にして進めていく必要があります。


   日本は近代国家となって以来、成長・拡大路線をひた走ってきた
   国家です。
   現在でも間違いなくその路線上にいます。

   しかし、今回発表された統計により、人口が既に減少をはじめて
   いるという可能性が明らかになったのです。


   拡大路線から縮小路線への転換は、一大国家事業といっても過言
   ではないでしょう。

   労働力人口の絶対数は減少し、非労働力人口の相対比率は増加します。


   国としてのありかたを根本的に改革しない限り、この未曾有の事態
   を受け止めることは難しいといえるのではないでしょうか。


《関連Webサイト》 総務省 統計局 
http://www.stat.go.jp/