首相、「議員年金は完全廃止すべき」

首相、「議員年金は完全廃止すべき」

   

      ~日経新聞 2004/04/07 2 面から

小泉純一郎首相は6日夜、都内のホテルで自民党の八代英太広報本部長らと
懇談し、国会議員互助年金(議員年金)制度の見直しについて「完全廃止
した方がいい。(関連法案を)出すなら早く出した方がいい」と述べ、
完全廃止すべきだとの見解を明らかにした。
会合では、民主党の欠席戦術によって年金制度改革法案の国会審議が遅れて
いることに話題が集中。古屋圭司氏が議員年金の廃止を提案すると、首相は
「全くその通りだ」と賛同した。「(年金を)受け取ってしまっている人が
いるので、経過措置をどうするかは議論の余地があるだろう」とも付け加
えた。

●● 以前、本メルマガでも取り上げた公務員に対する退職金の上乗せ
   支給が全面廃止されました。

   新聞各紙などで大きく取り上げられてから、3ヶ月足らずでの全面
   廃止となりました。

   テコンドー五輪派遣問題などでもそうですが、高度情報化社会に
   なったことにより、世論というものの影響力が非常に高くなって
   きているように感じます。

   昨今、問題視されている議員年金は、議員に対する年金超優遇
   制度です。
   この制度が制定された1958年当時、なにも議論を呼ばなかった
   のか不思議ですが、制定以来一度の改定も無く、半世紀近い期間
   ずっと運営されてきています。

   議員年金の掛け金は、年間およそ130万円。
   10年間議員でいれば65歳からの年金受給資格が発生します。
   受給額は在職10年で年412万円。
   在職年数が1年増えるごとに8.2万円ずつ増加します。

   在職10年の議員の場合、掛け金の支払い総額は、約1300万円。
   65歳から平均寿命の80歳まで15年間年金を受給した場合、その
   受け取り総額は6180万円になります。

   実に、支払った保険料の5倍近い数字です。

   国民年金の場合、この倍率は2倍に満たない数字です。

   当然、不足分は税金から投入されます。
   議員年金の場合、支払われている年金総額の70%近い金額が税金
   でまかなわれています。
   収入である保険料の5倍もの年金を支払っているのですから当然
   そうなります。

   さらに、保険料の支払い期間が10年に満たなかった場合、納付した
   金額の80%が返還されます。
   また、議員年金は、国民年金や厚生年金などと併用して受給でき
   ます。
   つまり、この巨額の年金が、いわゆる年金の3階部分に相当するわけ
   です。
   そのうえ、物価スライドの適用が無く、デフレ下でも年金額が目減り
   することはありません。

   廃止を提言した小泉首相は、このまま議員を引退しても年額600万円・
   月額50万円相当の議員年金を受給できます。
   老後、総額およそ1億円の年金です。

   この権利を放棄するわけですから、たいしたものだと思いますが、
   小泉首相のような議員は少数派でしょう。
   この議員年金の改革は、他の年金改革以上に困難なものになることが
   予想されます。

   ちなみに中曽根・宮沢元総理大臣の年金受給額は年間700万円超。
   国民年金は、満額でも年間80万円弱です。

《関連Webサイト》  国民年金